小売大手のWalmartは米国時間9月19日、仮想現実(VR)を活用した従業員の研修プログラムを全米展開する一環として、米国内の全店舗にVRヘッドセット「Oculus Go」を導入すると発表した。研修施設におけるVR活用の実証実験を1年前から始めており、VRヘッドセットでの研修を通じて、従業員は業務への自信やテクノロジへの理解が高まったという。
10月から、大型店であるSupercenterの各店舗に4台ずつ、小型店のNeighborhood Marketに2台ずつ、Oculus Goを配備する。従業員は、VRソフトウェア企業のSTRIVRが作成した45のアクティビティモジュールにアクセスできる。
2018年度末までに合計1万7000台以上の端末を各店舗に導入し、全ての従業員が研修プログラムを利用できるようにする。
Walmartによると、VRヘッドセットを活用したトレーニングでは、新技術、コンプライアンス、共感力や顧客サービスなどのソフトスキルの3点を重点分野とする。例えば技術研修では、全社的なデジタル戦略の一環として店内に導入する一連の技術を、従業員が使いこなせるようにする意向だ。
「VR研修は、特に新たなテクノロジの習得に役立つ」と同社はブログ投稿で述べる。「今夏の試験運用では、10店舗でVRを活用して新たな『Pickup Tower』装置(ネットであらかじめ注文しておいた商品を顧客が店舗で受け取るための装置)のトレーニングを実施した。VR技術を使えば、実際に装置を設置する前でも、従業員のトレーニングが可能になる。講師も必要ない。新技術の店舗導入を続けるWalwartにとって、これは極めて重要だ」
現場研修は、VR技術がエンタープライズ分野で活用できる有望な分野の一つと見られている。VRヘッドセットについては、まだ多くの問題や制限が山積しており、コンシューマー市場では苦戦を強いられている。現場研修の分野で有望視される理由は、VRは実用的なだけでなく、講師やコンピュータ、アプリを介したトレーニングよりも効率的である可能性を秘めているためだ。
Walmartの事例では、従業員が安全な環境下で失敗できるというメリットと、こうした種類の体験を通じて独自のスキルや自信を持たせられることが分かった。
「Walmartは、従業員教育の強化という点において、VR技術の恩恵を享受する初期の企業の1つだ。その活用領域はここからますます拡大するだろう」とOculusでビジネスパートナーシップを統括するAndy Mathis氏は話す。「(VR技術が)とても魅力的な点は、コストが掛かり、困難で、そうでなければ不可能なシナリオやシミュレーションが可能になるだけでなく、すぐ手近にあるということだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。