本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米NutanixのBen Gibson CMOと、デルの松本光吉 執行役員副社長の発言を紹介する。
「Nutanixの認知度をもっともっと高めていきたい」
(米Nutanix Ben Gibson CMO)
米NutanixのBen Gibson CMO
ニュータニックス・ジャパンが先頃、ユーザーカンファレンス「Nutanix .NEXT On Tour 2018」を都内のホテルで開催した。冒頭の発言は、このイベントに向けて来日した米NutanixのBen Gibson 最高マーケティング責任者(CMO)が基調講演でのスピーチ後、筆者の取材に応じた際に、CMOとして今最も注力していることとして述べたものである。
2009年に設立したNutanixは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)分野の草分けとして2011年にアプライアンスを商品化し、今ではソフトウェア会社としてHCIの基盤ソフト「Enterprise Cloud OS」を中心としたビジネスを展開している。設立以来これまで順調な成長を続け、現在の同社製品の顧客数は世界145カ国で1万社を超える。ちなみに1年前は約7000社だったというから、この1年で顧客数が大幅に増加したことになる。
なぜ、Nutanixは躍進を遂げ続けているのか。Gibson氏は、「Enterprise Cloud OSによって、インフラ、データセンター、クラウドの存在を意識することなく、アプリケーションやサービス対応に集中できる利便性の高いIT環境を提供している。つまり、お客さまにとって複雑なものを劇的にシンプルにしたからだ」と語った。
その利便性を実現しているキーワードとして、Gibson氏が基調講演でも個別取材でも強調していたのが「FREEDOM」、つまり「選択の自由」である。それは、Enterprise Cloud OSが、IBM、Dell、Lenovo、Cisco、HPEなどのHCIシステムで稼働し、プライベートクラウドを含めたオンプレミス環境だけでなく、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureといったパブリッククラウドサービスとも連携させたハイブリッドクラウド環境の基盤ソフトとして利用できるからだ。
そんなGibson氏にCMOとして今最も注力していることを聞いてみたところ、返ってきたのが冒頭の発言である。さらに先述の選択の自由にも関連して、パートナービジネスをマーケティング施策としても注力していくとし、市場におけるプレゼンスを一層強化していきたい考えだ。その意味で今回のイベントを機に発表した日立製作所とのパートナーシップ締結は、Nutanixの日本市場でのビジネスに勢いをつける動きとなりそうだ。
これまで、Aruba Networks、Veritas、F5 NetworksなどでCMOを務めてきた経験を持つGibson氏が、Nutanixの今後のマーケティング戦略をどのように描いていくか。注目しておきたい。
Gibson氏は「Nutanix .NEXT On Tour 2018」の基調講演で「FREEDOM」を強調していた