IDC Japanは9月27日、国内システム/サービス管理ソフトウェア市場の2017年の実績と2018~2022年の予測を発表した。これによると、2017年の実績は前年比2.8%増の2706億7600万円であることが分かった。
同社では、システム/サービス管理ソフトウェアについて、ITシステムとITサービスを管理、運用する目的で使用するソフトウェアと定義。システム/サービス管理ソフトウェア市場にはSaaSとして提供されているサービスも含まれる。
IDC Japanによると、企業は基幹業務システムなどのような従来のITシステムの管理に対する投資は維持しつつ、クラウド環境上に構築したITシステムの管理に向けて新たにシステム/サービス管理ソフトウェアを導入している。クラウド環境上では特にITリソースやアプリケーションの状況を監視するソフトウェアや、ITサービスのプロビジョニングやワークロード管理を自動化するソフトウェアの導入が拡大している。
2017年のベンダー別売上額シェアでは日立製作所がシェア1位となった。これに、NEC、富士通、IBM、野村総合研究所(NRI)が続いている。
IDC Japanでは、国内システム/サービス管理ソフトウェア市場の2017~2022年の年平均成長率(CAGR)は4.0%で、2022年には3292億円に達すると予測している(図1)。今後、クラウド環境上のITシステムに対する運用管理の需要がさらに拡大し、それによってシステム/サービス管理ソフトウェアの導入が促進されると見ている。クラウド環境ではアプリケーションとITサービスの最適化や管理、それに関連する管理プロセスの自動化を実現するソフトウェアの活用が拡大していく。
図1:国内システム/サービス管理ソフトウェア市場予測:2017~2022年(出典:IDC Japan)
※2017年は実績値、2018年以降は予測
また、もう一つの市場の促進要因として、システムログやパフォーマンスデータなど運用に関連する大量の情報を収集・分析し、ITオペレーションを最適化することへのニーズが増加すると見ている。ITオペレーション分析ソフトウェアを提供するベンダーのSplunkは、近年著しい成長を遂げている。今は多くのベンダーがITオペレーション分析をソフトウェアあるいはサービスで提供しており、今後それらを活用する企業が拡大していくと指摘する。
国内ではシステム/サービス管理SaaS市場が急成長している(図2)。2017年は前年比成長率が50.5%で、売上額が72億300万円となった。インシデント管理や問題管理を行うITサービス管理領域でSaaSの採用が進んでいる。
図2:国内システム/サービス管理SaaS市場予測:2017~2022年(出典:IDC Japan)
※2017年は実績値、2018年以降は予測
※システム/サービス管理SaaS市場はシステム/サービス管理ソフトウェア市場の内数である
2017年のSaaS市場でシェア1位となったServiceNowは、ITサービス管理領域を中心に大手企業への導入を拡大し、SaaS市場をけん引している。SaaS市場の2017~2022年のCAGRは34.9%で、2022年には322億円に達すると予測する。今後はアプリケーションパフォーマンス管理やITオペレーション分析、ITサービス運用の自動化においてもSaaSの採用が拡大すると見ている。