人事管理のクラウドサービスを展開するWorkdayは10月1日から4日間、米国ラスベガスでプライベートイベント「Workday Rising 2018」を開催している。2日目に開かれた同イベントのメインとなる基調講演では、拡張分析の「People Analytics」をはじめアナリティクス、機械学習や人工知能(AI)の最新機能が多数発表された。また、PaaSの「Workday Cloud Platform」を2019年に一般提供する予定だ。
「システム・オブ・インテリジェンス」でAI主導のエンタープライズに
シニアバイスプレジデント兼コーポレートストラテジー担当マネージングディレクターのLeighanne Levensaler氏。投資部門Workday Venturesの共同トップも務める
講演では、シニアバイスプレジデント兼コーポレートストラテジー担当マネージングディレクターLeighanne Levensaler氏が、全体の方向性について説明、キーワードとして挙げたのが「システム・オブ・インサイト」だ。
Workdayは、2005年に人事と財務という「システム・オブ・レコード(SOR)」の領域で事業をスタート、その後さまざまなアプリケーションに拡大して「システム・オブ・エンゲージメント(SOE)」に広げた。現在の同社が目指すのは、「システム・オブ・インサイト(System of Insights)」だ。「職場全体をサポートするアプリケーションを備え、アナリティクスとトランザクションを1つのシステムにした。これに機械学習アーキテクチャを組み合わせる」とLevensaler氏は説明する。
システム・オブ・レコードからシステム・オブ・エンゲージメント、その次はシステム・オブ・インサイトを目指す
機械学習では、2014年に「Workday Insight Applications」を発表している。その後、ビッグデータ分析技術の「Platfora」をはじめとした買収を含め技術を拡充し、2017年に「Prism Analytics」を発表した。
機械学習への取り組みを通じて「さまざまな学びがあった」とLevensaler氏。「機械学習は新しい技術というだけでなく、開発の方法も全く異なる」として、適切かつ適量のデータが必要であることなどを挙げた。機械学習のトレンドを受け入れるため、Workdayはデータサイエンティスト、ビジネスに通じた人材の起用など、雇用も変えたという。「われわれ自身もトランスフォーメーション(変革)している」とLevensaler氏はいう。
Workdayにとって、機械学習は「予測マシン」だ。企業にある大量のデータから学び、企業にない情報を生成してくれる。だが、見たことがないものは予測できない。人を置き換えるAIではなく、より良い意思決定につながるAIだ。
「人間は予測が得意とは言えない。溢れる情報の中で、さらに難しくなっている。一方で、機械は大規模なデータを迅速に処理して正確な予測を出す」とLevensaler氏。精度の高い予測を受けて人間が判断し、より良い意思決定が導き出されるという。
Workdayでは人事、財務、プランニングなど全てに予測を組み込んでいく計画だ。Levensaler氏は、「エンタープライズシステムが新しい時代に入る」と述べた。