製造業を中心に業界特化型のクラウド型ERP(統合基幹業務システム)アプリケーションを提供するInforは、米国ワシントンD.C.において年次カンファレンス「Inforum 2018」を開催した(9月24~27日)。4000人超の顧客とパートナー企業が参加した同カンファレンスで同社は、人工知能(AI)プラットフォームである「Coleman」の一般提供開始を発表した。
ERPアプリを音声で操作
Inforは、産業ごとに特化した「マイクロバーティカル ERP」を提供する、世界第3位のERPベンダーである。同社のクラウド環境で展開するアプリケーション群「Infor CloudSuite」は、自動車/中小規模企業製造/小売り/食品/ヘルスケア/公共事業など、21の業界向けERPがある。
Infor CloudSuiteアプリケーション群
Colemanは、こうした各アプリケーションのバックグラウンドで稼働するAIプラットフォームだ。各アプリケーションに蓄積された各業界特有の知見を学習し、業務の効率化や各業界に最適な施策を提示する。
具体的には、在庫管理や輸送ルートの計算、予防保全などのプロセス改善の支援などだ。2017年7月の「Inforum 2017」で発表されたColemanは、Inforの製品戦略の中核を担う機能と位置付けられており、CloudSuiteの基盤となる「Infor Operating Service(Infor OS)」の1機能として提供される。
Inforの製品戦略。AI(Caleman)を活用した新たな価値の創出を核としている
今回、一般提供を開始したのは、conversational(会話型)UI(ユーザーインターフェース)をサポートする「Infor Coleman Digital Assistant」だ。
現在、Infor CloudSuiteはサービス基盤にAmazon Web Services(AWS)を採用しており、Coleman Digital AssistantのUIは、Amazon.comの音声認識アシスタント「Alexa」が担う。利用者は、Alexa搭載デバイスと直接会話することで、自然言語処理によるアプリケーションとのやり取りが可能になる。つまり、音声入力でERPアプリケーションが操作できるようになるというわけだ。同社によると、今後はAlexaデバイスの管理やユーザー登録、デバイス間通信のセキュリティ強化などの機能をツールとして提供していく予定だという。
ちなみに「Alexa!」ではなく、「Coleman!」と呼び掛ける仕様になっているようだ