アマゾン ウェブ サービス(AWS)は10月10日、クラウド型コンタクトセンターサービス「Amazon Connect」を近いうちに東京リージョンからも提供する予定であることを発表した。併せて同社パートナーのトランスコスモスとアドバンストメディアがAmazon Connectを利用して提供を計画するサービスの概要を紹介した。
Amazon Connectは、2017年3月に提供が開始された。従来のコンタクトセンターは、専用の設備と膨大なカスタマイズを伴うシステム開発、顧客に対応するオペレーターの確保など多くの投資を必要とした。Amazon Connectは、企業ユーザーが必要な時にウェブから数ステップの操作を行うだけでコンタクトセンターの機能を構築でき、AWSやサードパーティーの各種サービスとの容易な連携、柔軟な拡張性を特徴としている。
同日記者会見した事業開発本部長の安田俊彦氏は、Amazon ConnectがAmazonの顧客対応における経験から開発されたと説明。Amazonでは、8万4000人以上のカスタマー担当スタッフが在籍し、Amazon Prime Dayの際には数千人規模で増員、翌日には元に戻す運用だという。こうしたダイナミックな対応が要求されるコンタクトセンターは、従来型のソリューションでは難しく、ソフトウェアベースで開発したコンタクトセンター機能がAmazon Connectだと述べた。
同氏によると、当初は東京リージョンでのAmazon Connectの提供は予定していなかった。しかし、国内ユーザーの強い要請でサービス化を検討しているという。同日の会見では具体的な開始日や料金体系などは明らかにされなかったが、国内リージョンで顧客データなどを保持できることや、日本の「0ABJ」番号などが利用できるとした。料金は、初期費用などは不要で顧客との総通話時間に応じた従量課金になるという。
東京リージョンから提供する予定のAmazon Connectの概要
Amazon Connectは、既に一部の日本企業がAWSのシドニーリージョンベースのサービスを利用しているといい、例えば、チケット販売のイープラスでは抽選販売のチケットに関する顧客からの当選照会をAmazon ConnectのIVR(音声自動応答装置)を対応している。開発コストで95%、人件費で95%の削減効果を得たという。また紳士服販売のAOKIは、スーツのレンタルサービスにAmazon ConnectとSalesforceを組み合わせて利用する。琉球銀行では、本支店への顧客の問い合わせの一部をAmazon Connectで対応する実証実験を進める。
トランスコスモスでは、同社の人材採用窓口における対応をAmazon Connectで行っている。2018年初頭にまず実験的に開始したが、通話遅延の問題が発生。AWS側が解決に当たったことで9月から本格的な利用に切り替えた。今後はショートメッセージサービス(SMS)も活用した非音声対応や24時間対応化を予定。東京リージョンからのサービス開始に合わせて、Amazon Connectをベースにしたサービスを顧客に提供するという。
アドバンスト・メディアも同社の音声認識ソリューション「AmiVoice」とAmazon Connectを組み合わせた機能開発を進めているといい、将来的に通話音声のテキストデータ化やデータを人工知能(AI)で解析するといったサービスを検討しているとした。
(※2018年10月11日・記事修正につきまして:初出時のサービス名称の記載に誤りがございました。誠に申し訳ございません。)