IT予算、2019年はどう動く--アナリスト企業3社のレポートを読み解く

Charles McLellan (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-10-31 07:00

 筆者が2017年に(そしてその前年にも)指摘しているように、企業は将来的な計画を台無しにしかねない不確実さというものを嫌う。人生に不確実さがつきものなのは当然であるとはいえ、昨今の地政学的かつマクロ経済学的な状況は不透明さをますます増している。

 例えば、国連の経済分析およびポリシー部門が発表したレポート「World Economic Situation and Prospects as of mid-2018」(2018年中盤における世界経済の状況とその展望)は、世界経済が好転し、2018年と2019年に3.2%の成長を見ると予測している一方で、以下のような警告も記している。

 しかし経済成長が改善するとともに、経済大国間での貿易戦争の可能性や、経済先進国における金融政策の修正頻度に端を発する不確実さの増加、高水準の債務やその増大、地政学的な緊張の高まりといったリスクも大きくなってきている。


提供:国連の経済分析およびポリシー部門

 この国連レポートでは特に、貿易面での緊張と障壁によって「広範囲な報復行為と、世界のバリューチェーンに対する大きな混乱が2018年を通じて引き起こされる」のであれば、世界規模での投資や貿易が急速に低迷に向かうだろうと推測している。国連は、この下げ幅が2008年に起こった世界金融危機の半分程度となった場合、「世界貿易が停滞し、2019年における世界総生産の伸びがベースライン予測の伸びである3.2%から1.8%にまで低下する」と見積もっている。

 英国では不確実さの主な源は、間近に迫った欧州連合(EU)からの離脱(いわゆる「ブレグジット」)だ。われわれは2017年の記事で、「英国政府のブレグジットに向けた詳細計画は、3月に発動された基本条約第50条と、6月に開始されたEUの27カ国との協議、2年間の移行期間が必要だとTheresa May英国首相が明言した9月22日のスピーチの後でも、失望を隠せないほど不明確なままとなっている」と指摘している。

 あれから1年たち、EUからの離脱まであと数カ月となった現在、英国内でのブレグジットに対する意見は今まで以上に割れており、最終案(というものがあるのであれば)がいまだに熱く議論されている。国連の2018年における中間レポートで以下のように記されているのも驚くべき話ではない。

 グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、すなわち英国がEU離脱の準備を進めるなか、移行段階、特に、同国との将来の貿易関係をめぐる不確実さが増している。その結果、企業が英国への投資を他に振り向けるリスクが増大している。

 企業は、事業環境の不確実さに直面したとしても、立ち止まることは許されない。政治的状況や経済的状況にかかわらず、デジタル改革は進化に向けた大きな圧力として存在しているためだ。とは言うものの幹部レベルは、ITをはじめとするさまざまな投資、特に長期的な投資に関して「立ち止まって見極める」という、注意深いアプローチを採用できる立場にあるはずだ。

 各アナリスト企業による調査や予測から、こういった状況が見えてくるだろうか?それでは、詳細を見てみることにしよう。

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