内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

案件特性ごとのシステム化のプロセス

内山悟志(ITRプリンシパル・アナリスト) 2018年10月17日 07時00分

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 本連載の前回「案件特性によって変わるシステム化のアプローチ」では、昨今のデジタル・イノベーションなどの案件におけるシステム構築においては従来の進め方と異なるアプローチが求められると述べました。今回は、それらの具体的なプロセスについて考えてみましょう。

案件特性ごとに異なるアプローチ

 前回は、新規事業の創出におけるシステム化には、共創型アプローチが必要となると述べました。また、既存事業においては、業務維持や改善のためのシステム化の場合、従来型のアプローチが適合する場面が多く、業務プロセスの抜本的な改革や、これまで実現できなかったことをデジタル技術によって可能にするような案件では、提案型アプローチが必要となると述べました。

 それでは、それぞれのアプローチの具体的な進め方を見ていきましょう。従来のシステム開発は、いわゆるウォーターフォール型のアプローチが一般的な進め方です(図1)。それは、手作業であれ、一部システム化されている場合であれ、遂行すべき業務プロセスが明確であり、システムに求められる機能や業務フローを想定できれば、システム化の要件がしっかりと定義できるからです。

図1.従来型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)
図1.従来型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)

 次に、従来の事業分野であっても、業務プロセスの抜本的な改革や、これまで実現できなかったことをデジタル技術によって可能にするような案件では、提案型のアプローチが求められます。案件は、そもそもユーザー部門が問題に気付いていなかったり、実現できると思っていなかったりするため、ユーザーがシステム化の要件を明確に提示できないことが多いためです。

 また、デジタル技術を活用した業務革新は、進め方が確立していていなかったり、これまで適用したことのない新規技術を活用したりすることが多いため、実装と試用を繰り替えし、試行錯誤しながら進めるようなアプローチが求められます(図2)。

図2.提案型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)
図2.提案型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)

 そして、新規事業の創出におけるシステム化では、IT部門とユーザー部門が企画・構想といった初期段階から協調して、事業とシステムの目指す姿を同時進行で検討する共創型アプローチが必要となります。新規事業の創出においては、そもそも現状の業務が存在していないため、初期段階に業務要件は決められませんし、ビジネスモデルを確定することは困難です。

 そのため、リーンスタートアップの考え方を用いて、実装(試作を含む)と試用、その評価を繰り替えし、試行錯誤しながら、ビジネスとシステムを同時にデザインし、構築していかなければなりません(図3)。また、本番稼働後も、ビジネス環境の変化やユーザーの反応を受けて、継続的に評価・改善していくことが求められます。

図3.共創型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)
図3.共創型アプローチにおけるプロセス(出典:ITR)

 このように、システム化の目的や対象領域といった案件特性によって、システム構築のアプローチは何通りかあり、それぞれに異なるプロセスで進める必要があります。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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