通信キャリアの回線サービス
通信キャリアの提供するWAN回線を利用する会社にとって心配事は3つある。
- 安全・確実に使えるか
- リアルタイムで快適に使えるか
- リーズナブルに使えるか
通信キャリアはこれらの要求に応えるためにさまざまな工夫をしている。例えば、1つ目の安全・確実に使えるかという点については、その使い方に応じて大きく3つの選択肢が存在する。
- インターネット接続サービス
- 閉域網VPNサービス
- 専用線サービス
それぞれがどんなものなのかということは次回詳しく述べていきたいと思う。
また、これに加えてリアルタイムで快適に使えるかという点については、Service Level Agreement(SLA)という形で、その品質を担保している。その定義、範囲、内容、達成目標もさまざまで、そのネットワークを何に使うのかに応じて選択できるようになっている。
そしてこれらはコストに連動している。少し多めに費用をつぎ込めるならば、安全・確実度が高く、SLAのしっかりしたサービスを選び出せるだろう。あまり費用をつぎ込めないようなら、それなりのサービスになってしまうだろう。

回線サービス+α
また、通信キャリアが提供するのは前述したような回線サービスだけではない。例えば、次のようなサービスを追加できる。
- マネージドサービス
運用管理のアウトソーシングサービスのこと - セキュリティサービス
さまざまなサイバーリスクからネットワークリソースを守るサービスのこと - その他追加サービス
・電話サービス
・クラウド接続サービス、など
これらのサービスの関係性は次の図のようになる。

あくまで回線サービスがあり、その上にマネージドサービスやセキュリティサービスが乗っかるのが基本の形だ。これらのサービスについても連載を進めていく中でどのようなものがあるのか具体的に述べていこうと思う。
次回予告
いかがだろうか。LANを構築し、WANサービスとつなげることでネットワークは果てしなく広がっていく。次回は今回述べた回線サービスの種類について詳しく述べていこう。

- 飯田哲也(いいだてつや)
- アルテリア・ネットワークス エキスパート・エンジニア
- 1973年生まれ。PlayStatoinシリーズの開発に関わりハードウェアおよびソフトウェアの基礎技術を会得。PlayStation2の開発においてはPS1互換エミュレータのメインプログラマーを務める。その後、台湾楽天市場のプロデューサー兼プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてウェブサイトの構築と運用を担当。アドテクノロジのベンチャーを経て、楽天でんわおよび楽天モバイルの立ち上げに技術担当として携わる。
2016年からアルテリア・ネットワークス。レジスタからクラウドまでソフトウェアの多くのレイヤに関わった経験と、ゲーム・電子商取引(EC)・アドテクノロジ・電話・インターネット接続事業者(ISP)と多くの業界を渡り歩いた経験をもとに技術やプロダクトのリサーチ・マーケティング業務を担当。現在に至る。