キャタピラーが4つの「C」で取り組む高水圧ホース製造の最適化

阿久津良和 2018年10月19日 06時00分

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 Teradataは10月14日から5日間、米国ラスベガスで年次イベント「Teradata Analytics Universe2018」を開催した。次世代のアナリティクスカンファレンスと題して多彩なユーザー事例を交えた講演が行われた。本稿では建設機械メーカーCaterpillarのセッション「Caterpillar: Reducing plant floor operations cost using advanced analytics」を紹介する。

 Fortune 500にランクインするCaterpillarは、1925年4月の創業と約90年の歴史を持つ。同業もしくは異業種企業の買収や、組織の核となる技術・特色と整合しない資産分割を繰り返し、建設・資源・電力・金融およびその他の5つの区分で事業を展開してきた。同社はさらなる生産ラインの最適化を目指すべく、さまざまな取り組みを行っており、その1つのが高水圧ホースの製造だ。

 同社では1960年から基幹システムを用い、一般的な水圧ホースよりも高品質な「Cat ToughGuard Hose」の設計・製造を行ってきた。だが、ホースの製造工程時に問題が発生しても、その場で取り除くことができずに破棄するため、時間と原材料、エネルギーを無駄に消費せざるを得なかったという。2015年には誤って不良材料を顧客に納品してしまい、ホースに限定したリコール(回収・無償修理)が発生している。

Caterpillar Global Project EngineerのJoseph Garling氏
Caterpillar Global Project EngineerのJoseph Garling氏

 この失敗に対処するためCaterpillarは、自社でデータを収集し、一定の改善に至ったと担当者は説明する。同社のホース製造工程では、「専門知識」「頑丈なデザイン」「精密な製造」「厳格なテスト」「比類なきサポート」の5つを必要としているという。データの収集は容易ながらも、「その内容を理解して活用するのは専門外だった」(Caterpillar Global Project EngineerのJoseph Garling氏)とのことだ。

 Garling氏は、2017年にシカゴでTeradataの担当者と出会い、「Messy(厄介な) Data」を解決するソリューション開発に至っている。TeradataのIIOT(インダストリアルIoT)の観点から、CaterpillarのPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)経由でデータを集約しているが、パイピング部分で取得できる変数の頻度が不十分である点に着目した。一般的な製造工場で分析環境を導入する際は、スマートセンサやPLCからデータを取得し、データを機械学習に関連付けできるコンピュータに格納していく。

 この課題に対してTeradataとCaterpillarは、12~15人のチーム体制を組み、約6カ月という短い期間で大きな成果を挙げたと説明する。Teradata側はデータエンジニア、データサイエンティスト、ビジネスインテリジェンス、製造業コンサルティングを用意し、Caterpillarもエンジニアやプロントオペレーター、品質管理、ラインオペレーターをそろえて対応した。

Teradata Industry ConsultingのBilal Paracha氏
Teradata Industry ConsultingのBilal Paracha氏

 「機械学習プロセスを工場で実現するには、ラインオペレーターが操作に慣れる必要がある。彼らには、使い続けた操作方法が“文化的”にあるため、挙動を変えるのは大変だった。われわれはシームレスかつ簡単にするため、スマートなコグニティブデザインやダッシュボードの改善などに注力した」(Teradata Industry ConsultingのBilal Paracha氏)

 Paracha氏は、このプロジェクトのキーワードに「4つのC」を挙げる。Teradataは、「Connect(接続)」「Collect(集約)」「Correlate(相関)」「Consume(消費)」の4つを並べて、「つなげて、集めて、関連付けて、消費する、というものだ。IIOTネットワークを構築し、バラバラなシステムを集約した結果を中央集権的に集める。そして、センサデータとビジネスデータの相関性を機械学習などで見つけ出し、製造プロセスの品質をさらに向上させるというものだ。消費とは、オペレーションや品質管理チームによるデータ使用を指す。「この『4つのC』を満たせば成功だ」(Paracha氏)

ホース製造における取得データとの相関関係。履歴管理の改善に役立つという
ホース製造における取得データとの相関関係。履歴管理の改善に役立つという
温度や湿度などの情報をダッシュボード経由でオペレータが確認し、品質の状態を把握する
温度や湿度などの情報をダッシュボード経由でオペレータが確認し、品質の状態を把握する

 プロジェクトの成果として両社は、「工場の全てを可視化できないが、プロジェクトでは数百人レベルの可視化に成功し、5倍の組織的能力を得た」と説明する。Paracha氏は、「約10~12カ月で一定のゴールが見えてくる。(2018年3月から着手したプロジェクトによって)あと10カ月は会社を辞められない」と話す。

 Garling氏も、「全ての製造プロセスを追跡可能にすることで、過去にはホースを1~2メートル単位で破棄していたが、現在はインチレベルまで低下し、ビジネスの価値を大きく高めた」(Garling氏)と述べている。

(取材協力:日本テラデータ)

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