松岡功の「今週の明言」

「公共機関向けクラウド」を促進する日本マイクロソフト幹部の情熱

松岡功

2018-10-19 10:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフトの佐藤知成 執行役員常務と、ベリタステクノロジーズの高井隆太 常務執行役員の発言を紹介する。

「公共機関向けのクラウドプロバイダーとしてナンバーワンを目指す」
(日本マイクロソフト 佐藤知成 執行役員常務)

日本マイクロソフトの佐藤知成 執行役員常務
日本マイクロソフトの佐藤知成 執行役員常務

 日本マイクロソフトが先頃、政府・自治体、教育、医療などの公共機関におけるクラウドサービスの導入・移行・利用促進に向けた支援プログラム「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」を発表した。同社で執行役員常務パブリックセクター事業本部長を務める佐藤氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新施策による事業拡大への意気込みを示したものである。

 同社が提供する支援プログラムは、「公共機関およびパートナー企業向け人材育成プログラム」「公共機関向け災害対策支援」「クラウド早期導入支援」「社内における公共機関向けクラウドエキスパート200人を育成」「パートナーソリューションの開発」の5つ。これらの内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは同社がこの支援プログラムの提供に至った背景について記しておこう。

 佐藤氏によると、大きく影響しているのは、日本政府が少子高齢化に対応し、持続的な経済発展を成し遂げるため、人工知能(AI)、ロボット、モノのインターネット(IoT)などを活用した新しい社会「Society 5.0」を、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱していることだ。

 また、2018年6月にはそれらを支えるプラットフォームとして政府情報システムを整備する際に、クラウドサービスの利用を第一候補とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」の基本方針を発表し、クラウドサービス利用検討フェーズにおける基本的な考え方を示している。

 同社では、こうした日本政府の方針に沿って、Society 5.0の実現および公共機関におけるクラウドサービスの導入・移行・利用促進にさらに貢献したいと考え、今回の支援プログラムの提供に至ったとしている。

 佐藤氏の話の中で、冒頭の「ナンバーワン」発言とともに筆者が印象深かったのは、自らが率いるパブリックセクター事業を「人の一生に寄り添う公共機関向けの取り組み」と表現していたことだ。実は、この表現は同氏が2018年1月に現職に就任した後、事業の方向性を示そうと自ら打ち出したものである。

 図に示したのが、その内容だ。同氏はこの図について、「当社が提供している製品やサービスは、国民の皆さまが年齢とともにさまざまな活動をされる中で、その多くに何らかの形で関わっている。それはまさしく、人の一生に寄り添うことだと確信している」と説明した。「人の一生に寄り添う」というのは、この事業に対する佐藤氏のポリシーである。この情熱を持って挑む「公共機関向けクラウド」の促進ぶりに大いに注目しておきたい。

図:人の一生に寄り添う日本マイクロソフトの取り組み(出典:日本マイクロソフトの資料)
図:人の一生に寄り添う日本マイクロソフトの取り組み(出典:日本マイクロソフトの資料)

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