Oracle OpenWorld

オラクルのエリソンCTO、「Gen2 Cloud」発表--セキュリティ重視で再設計 - 32/35

藤本和彦 (編集部)

2018-10-23 20:57

Oracleで会長兼CTO(最高技術責任者)を務めるLarry Ellison氏
Oracleで会長兼CTO(最高技術責任者)を務めるLarry Ellison氏

 Oracleで会長兼CTO(最高技術責任者)を務めるLarry Ellison氏は、サンフランシスコで10月22~25日に掛けて開催されている「Oracle OpenWorld 2018」で基調講演に登壇した。「Think Autonomous」をテーマに、同社が“第2世代”と呼ぶ「Generation 2 Cloud(Gen2 Cloud)」や「Autonomous Database」について語った。

 Gen2 Cloudは、全く新しくアーキテクチャから再設計したもので、「クラウドコントロールコンピュータ」と呼ばれる侵入が困難な障壁と、「オートノマスロボット(自律型ロボット)」が中核要素となっている。エンタープライズでの利用を想定したセキュリティ重視のクラウド基盤であると、Ellison氏は語る。

 クラウドコントロールコンピュータを専用のネットワークに分離することで、顧客の1つ1つのゾーンを守るとともに、自律型のロボットによって脅威を自動で検出して破壊する。コンピューティングリソースを複数の顧客で共有する従来型のクラウドでは、ユーザーコードやクラウドを制御するコードも一緒に管理・実行されており、そこにアーキテクチャ上の本質的な問題があったという。

 Gen2 Cloudはベアメタルサーバを顧客に提供し、クラウドコントロールコンピュータを切り離している。それぞれを独立したネットワークにし、顧客ごとのゾーンを区分けすることで、コントロールコードの改ざんや脅威の拡散を未然に防ぐとEllison氏はアピールする。

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 Gen2 Cloudに展開されるアプリケーションのセキュリティを向上する。顧客のデータ暗号化を制御するための「Key Management Service(KMS)」、セキュアな構成を監視・適用するために統合された「Cloud Access Security Broker(CASB)」、ウェブトラフィックへの攻撃から保護する「Web Application Firewall(WAF)」、部外者によるアプリケーション実行の中断を阻止する「Distributed Denial-of-Service(DDoS)保護」が含まれる。

 さらに、2019年末までにオーストラリア、カナダ、欧州、日本、韓国、インド、ブラジル、中東にリージョンを拡張。米国のバージニア州、アリゾナ州、イリノイ州では、公的機関の顧客や国防総省にサービスを提供する。

 Gen2 Cloudは、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」として既にパブリッククラウドで提供されている。2019年には、任意のデータセンター内にクラウド環境を構築する「Oracle Cloud at Customer」向けに提供が開始される予定だ。

 自律型データベース「Oracle Autonomous Database」については、2017年のOracle OpenWorldで発表して以来、データウェアハウス向けの「Autonomous Data Warehouse(ADW)」とトランザクション処理向けの「Autonomous Transaction Processing(ATP)」を提供。単一のデータベースでDWHとOLTPに対応できる点が他社にはない強みだと強調した。

 基調講演では、専門家が手動でチューニングするよりも、機械学習の技術を用いて調整を繰り返す方が高いパフォーマンスを発揮できると説明。「完全に自動運転」のデータベースであるとアピールした。

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 また、Autonomous Databaseを専有型の「Exadata Cloud Infrastructure」で動かせるようになると発表。「Oracle Autonomous Database Cloud at Customer」も2019年夏に提供開始することを明らかにした。

 基調講演の最後には、Autonomous DatabaseとAmazon Web Services(AWS)のデータベースサービスを比較したデモを披露。Amazon Redshift、Amazon Auroraなどを比べながら、「Amazonのデータベースより3~100倍高速だ」と指摘した。

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 Ellison氏の主なプレゼンテーションは下の写真の通り。

(取材協力:日本オラクル)

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