Oracleは、「Blockchain Cloud Service」の発表からおよそ1年が経つ米国時間10月23日にその歩みを進め、「Oracle Blockchain Applications Cloud」を発表した。これは、特定のユースケースを念頭に置いて開発された、すぐに利用できるブロックチェーンアプリケーションのスイートだ。第一弾のアプリケーション群は、サプライチェーンのユースケースに焦点を当てたものとなっている。
この新たなブロックチェーンアプリケーション群には、「Oracle Supply Chain Management(SCM)Cloud」や「Oracle Enterprise Resource Planning(ERP)Cloud」をはじめとする「Oracle Cloud」アプリケーションに対する統合機能もあらかじめ搭載されている。また一般的なビジネスプロセス向けのビジネスネットワークテンプレートも提供されている。
OracleのSaaS製品マーケティング担当シニアバイスプレジデントであるJuergen Lindner氏は米ZDNetに対し、Oracleはブロックチェーンに多大な投資を行っていると述べた。
同氏はブロックチェーンについて、ビジネス上の取引を円滑化する「信頼に向けた新たなファブリックだと考えている」と述べた。
仮想通貨であるビットコインを支えるテクノロジとして知られているブロックチェーンは、すべての取引履歴を格納できる、分散型の共有台帳だ。改ざん不能なトランザクションという性質を合わせ持つブロックチェーンは、そうした性質を核として新たな収益源を創造したり、企業の運営効率を向上させたいと考える企業にとって、さまざまなユースケースで利用できるテクノロジになっている。
Blockchain Applications Cloudの第一弾には以下のアプリケーションが含まれている。
- 「Intelligent Track and Trace」(インテリジェントな追跡やトレース):このアプリケーションによって、調達や製造、輸送といった、サプライチェーン中の各ステップに対するデジタルなトレースが実現される。また、特定製品のリコールや、係争の解決、偽造品の削減、規制に対するコンプライアンスの強化、詐欺行為からの保護で顧客を支援するための根本原因分析も実行できる。
- 「Lot Lineage and Provenance」(ロットの系統や来歴):このアプリケーションによって、階層化されたシリアル番号のライフサイクル管理のほか、製品を構成する部品の出所や真正性の記録、製品改良記録の追跡が可能になる。このため、規制への準拠や、特定製品のリコール、偽造部品の流通防止に役立てることができる。
- 「Intelligent Cold Chain」(インテリジェントなコールドチェーン):このアプリケーションによって、薬品や食品、飲料品といった温度管理が必要な製品に対するサプライチェーンの監視や追跡が可能になる。また、製品の品質や安全性を保証するためのプロセスに対する助言や最適化も可能になる。
- 「Warranty and Usage Tracking」(保証と使用の記録):このアプリケーションによって、高額資産の利用状況の追跡を自動化できるようになる。これにより、保証や賠償請求、保険に利用できる、監査可能かつ検証可能な記録がもたらされる。
これら第一弾のアプリケーション群のユースケースはサプライチェーンに特化したものとなっているが、Lindner氏によるとOracleは間もなく、この新たなクラウド上で他の製品ラインを展開していく計画だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。