仮想通貨犯罪の裏で暗躍する北朝鮮ハッカー部隊--その深い闇を明かす2つのレポートが公開

Catalin Cimpanu (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2018年11月01日 06時30分

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 北朝鮮のハッカーや工作員らは、世界各国による経済制裁を迂回(うかい)し、同国政権の運営資金を獲得するために仮想通貨をフルに活用している。

 仮想通貨関連の攻撃についてGroup-IBとRecorded Futureのそれぞれが発行した最近のレポートでは、仮想通貨取引サイトに対するハッキングへの依存や、仮想通貨に関連する詐欺の遂行、さらには一通りの機能を有した詐欺通貨の創出という、北朝鮮によるハッキング活動の深い闇が明らかにされている。

 これらのうちで最も効果が高かったのは、仮想通貨取引サイトに対するサイバー攻撃だ。米国時間10月に公開されたGroup-IBのレポートによると、仮想通貨取引サイトに対する14件の攻撃のうち、5件がLazarus Groupによるものだという。Lazarus Groupは、サイバーセキュリティ業界が北朝鮮軍のハッキング部隊に対して割り当てたコードネームだ。

 Group-IBによると、Lazarus Groupは2017年から2018年にかけてYapizonやCoinis、YouBit、Coincheck、Bithumbといった仮想通貨取引サイトに対する攻撃を成功させ、これら5つの取引サイトから総額で約5億7100万ドルを盗み出したという。


提供:Group-IB

 しかも、北朝鮮の工作員が用いている武器はハッキング技術だけではない。脅威情報企業Recorded Futureが10月25日に公開したレポートによると、同国の関与が疑われている仮想通貨関連の詐欺には北朝鮮の政府機関と関わりがある個人も加担しているという。

 Recorded Futureは「シンガポールで活動している、北朝鮮の政府機関と関わりがある個人で構成されたグループが運営する『Marine Chain』というアセットバックト(資産担保型)仮想通貨を用いた詐欺を発見した」と記している。

 また同レポートは「われわれは2018年8月に開催された複数のBitcoinフォーラムにおいて、仮想通貨としてのMarine Chainの話題に出くわしている。Marine Chainは複数のユーザーやオーナーに資するために船舶をトークン化できるようにするアセットバックト型仮想通貨という触れ込みだった」とも記している。

 このベンチャーへの投資者は、すべての資金を無駄にしたとRecorded Futureは確信している。その結論に至った理由として、同社は以下の内容を挙げている。

 Marine Chainのウェブサイトは、ShipOwner.ioをほとんどそのままコピーしたものだった。ちなみにShipOwner.ioは、仮想通貨による投資によって船舶の購入やレンタルを可能にする、ブロックチェーンをベースにした類似のサービスだ。

 Marine Chainのウェブサイトは、4つの異なるIPアドレスでホストされていた。これらのIPアドレスは、2017年後半から2018年を通じて複数の仮想通貨関連詐欺サイトをホストしていたものだった。

 それら詐欺サイトの1つはBinary Tiltという、カナダのオンタリオ州政府によって詐欺認定されている、バイナリーオプションのトレーディング企業が運営しているものだった。

 Recorded FutureはMarine Chainの幹部2人が、少なくとも2013年から北朝鮮に対する制裁回避を援助しているシンガポールの複数の企業に関係しているとも記している。

 Recorded Futureによると、北朝鮮と関連のある個人はMarine Chainの他にも、2018年に立ち上げられた別の仮想通貨に関連しているという。この仮想通貨は4回に渡ってブランドを変更し(InterstellarとStellar、HOLD、HUZU)、ユーザーからの投資を受けた後で活動を停止し、資産を盗み取っている。

 これら2つの詐欺はLazarus Groupの起こしたハッキング事件と同程度の金銭を獲得したわけではなさそうだが、現実の銀行に対するサイバー強盗とは別に、仮想通貨関連で資金獲得を支援する動きもあるという状況を物語っている。FireEyeが北朝鮮を「現時点において最も破壊的なサイバー脅威」だとしている理由がここにある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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