Alibaba Cloudは先週、欧州への浸透を目指して、英国に2つのデータセンターを新たに開設した。
同社は2016年にも、フランクフルトとドバイにデータセンターを開設している。同社は声明で、ロンドンに開設された新データセンターでは、欧州企業の需要に対応するために、エラスティックコンピューティング、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションサービス、ビッグデータアナリティクスなどのサービスを提供する予定だと述べている。今回の動きは、欧州連合(EU)離脱を控え、投資水準への懸念が広がっている英国のテクノロジ産業の強さに対する信頼を、ブレグジット前に示したものと受け止められるだろう。
Alibabaは世界で3位あるいは4位のクラウドコンピューティングプロバイダーであり(順位は統計によって異なる)、中国国内で最大のパブリッククラウドサービスプロバイダーだ。中国では外国企業がクラウドコンピューティング関連のインフラを所有することが許されていないため、国外のプロバイダーにとって厳しい市場となっている。Amazon Web Services(AWS)は2017年に、中国のインターネット規制に対応するため、中国国内で所有していた同社のクラウドコンピューティングインフラの一部を中国のパートナー企業に売却した。
今回の新データセンターの開設によって、Alibabaの世界的なアベイラビリティゾーンの数は52となり、リージョンの数は19となった。Alibabaは、小売りから物流、IoT、エンターテインメント、そしてクラウドコンピューティングまで事業を拡大しており、小売業からクラウドまでの事業を展開する大手企業Amazonと多くの点で類似している。
同社が欧州でサービスを開始した際の初期の顧客は、多くの場合Alibabaのシステムを事業運営に利用し、中国にサービスを提供するルートとして使用することを目的としていた。また、欧州で事業を行おうとする中国企業もAlibabaのサービスを利用している。
クラウドベンダーはますます独自のセールスポイントを持つようになっている。Google Cloudは、人工知能(AI)と機械学習に適したクラウドとしての地位を築こうとしており、Alibaba Cloudは、業種ごとの専門性で存在感を示し、クラウド技術に加え、小売りや金融などの分野で事業の手腕を強化したい考えのようだ。
Alibaba Cloud EMEAのゼネラルマネージャーであるYeming Wang氏は、「このことが、この成熟した市場で、当社の成長を促すと考えている。今日では、ITインフラの移行だけでなく、さらなるビジネス上の価値に期待が高まっている」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。