「Fedora 29」公開--IBMによるレッドハット買収が注目されるもコミュニティは通常通り

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-10-31 11:50

 先にIBMとの買収合意が発表されて話題のRed Hatだが、Red Hatと同社が支援するコミュニティは通常通りの活動を続けている。Red Hatが支援するFedora Projectは米国時間10月30日、オープンソースのLinuxディストリビューション「Fedora 29」のリリースを発表した。

 Fedora 29は、サーバ向けの「Fedora Server」、ノート PC やデスクトップコンピューター用途に適した「Fedora Workstation」、Linuxクラウドとコンテナ向けの「Fedora Atomic Host」の3種類で構成される。3エディションともに、Linuxカーネル4.19をはじめとした共通の土台パッケージセットから構築されている。約1週間前に公開されたばかりのLinuxカーネル4.19を搭載した点は、最先端の技術を詰め込むというFedoraの開発方針を象徴している。

 いつも通り、最新のFedoraは最新のプログラムを搭載した他、バグ修正、性能改善、機能強化が盛り込まれている。土台のパッケージでは、Python 3.7、Perl 5.28、GNU C Library(glibc) 2.28、Golang 1.11、MySQL 8など、コンパイラや言語などがアップデートされている。

 Fedora 29では、モジュラーリポジトリが、全エディションで採用された。これは、Fedora 28ではServerエディションにのみ追加された機能だ。モジュラーリポジトリはオプションソフトウェアのリポジトリで、独立したライフサイクルで特定のソフトウェアバージョンを追加でインストールできるものだ。これにより、OSを最新のものに維持しつつ、ディストリビューションのデフォルトバージョンが変更しても特定のバージョンのアプリケーションを使い続けることができる。実証済みのバージョンを維持しながら、新しいものを使いたい別のユーザーは最新のプログラムを使って運用環境向けに将来リリースするソフトウェアで作業できる。

 管理者なら知っているように、システム管理においてソフトウェアのライフサイクルは頭痛の種だ。アプリケーションの中には次々と最新の機能をリリースするものもあれば、安定性を重視するためにリリースサイクルが遅いものもある。モジュラーアプローチにより、個々のパッケージのバージョンを気にしながら、OS全体のアップグレードをどうするかを悩まなくて済むようにある。

 そのほかの大きな変更点として、Fedora 29 Workstationでは「GNOME 3.30」のデスクトップ環境を採用している。またFedoraは主にデスクトップLinuxとして知られるが、最新版ではARMプロセッサ、IoTに取り組む開発者向けの機能もある。IoTで最も重要なアップデートは、ZRAMサポートの強化によりARMv7とaarch64でのスワップをサポートした点だ。これにより、「Raspberry Pi」などARMアーキテクチャを採用したシングルボードコンピュータでの性能と信頼性が強化された。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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