明石市役所、国保システムをオープン化--数千万件のデータを13時間で変換

NO BUDGET

2018-11-02 11:10

 兵庫県明石市役所は、国民健康保険システム(国保システム)をメインフレームからオープンシステムへ移行するプロジェクトで、データ・アプリケーション(DAL)のデータ変換ツール「RACCOON」を導入した。

 RACCOONは可変長マルチレイアウトのデータを扱え、大量のデータを高速に変換できる。PCで処理を実行できるため、移行作業に掛かる負担を軽減できるとしている。

 明石市役所では、これまで国保システムをメインフレーム環境で稼働させていたが、メーカー主体で保守が行われてきたためプログラムのブラックボックス化が進み、役所内部での改修が難しく運用コストも高止まりしていた。

 そんな中、これまで市町村単位で運営してきた国民健康保険を、都道府県が財政運営の責任を担い市町村は引き続き各種手続きの窓口を担うという仕組みに運用が変更となった。それに伴い、3つのシステムを含む「国保保険者標準事務処理システム」が開発され、そのうちの1つである「市町村事務処理標準システム(標準システム)」が、希望する市町村に無償配布されることになった。これを機に同市役所でも、標準システムの導入を、メインフレームから脱却する前向きな機会と捉えた。

 しかし、メインフレームからオープンシステムへの移行に当たり、既存データの移行が課題となった。両者では文字コード体系が異なり、その上、メインフレーム特有の可変長マルチレイアウトからのフォーマット変換や加工を行う必要があるため、移行方法とコストに関する検討が必要なった。そこでさまざまな検討を重ねた結果、RACCOONの導入が決定された。

データ移行のイメージ
データ移行のイメージ(出典:DAL)

 データ移行は、標準システムが搭載する「宛名管理システム」「資格管理システム」「保険料(税)賦課システム」「給付システム」「保険料(税)収納システム」という5つの業務に対して実施された。Windows PCを利用して全体で数千万件あるデータの移行を13時間ほどの短時間で完了した。標準システムは当初の予定通り、2018年3月頭にはユーザーテストを開始、4月1日の制度移行に合わせて本稼働を果たしている。

 同市役所では、RACCOONには変換前にデータ品質をチェックする機能があり、それが移行作業の効率化に役立ったと評価している。また今回の移行により、2022年までは年間1000万円、2023年以降は年間3000万円のコスト削減が見込まれているという。今後は、市役所内にあるメインフレームで動くシステムのオープン化や、データがExcelで管理されているだけで本格的にシステム化されていない業務にRACCOONを活用していく予定だという。

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