Microsoftは現地時間10月31日、ロンドンで開催中のイベント「Microsoft Future Decoded」で、ビジネスと学術分野における人工知能(AI)関連の人材不足に対応するために、2つの新しい人材育成プログラムを提供すると発表した。
1つ目の「Microsoft AI Academy」は、ビジネスおよび公共分野のリーダー、IT専門家、開発者、新興企業を対象に、対面とオンラインの両方で研修セッションを行う。
Microsoft UKの最高経営責任者(CEO)であるCindy Rose氏はイベントで、次のように述べた。「顧客とパートナーのために、このアカデミーで実践的なAIスキルの開発、学習、認定を支援する」。同氏によると、Microsoftは社内スタッフの研修でも、このアカデミーを活用するという。
またMicrosoftは、英国内の次世代のAI研究者を育成するためのプログラムをケンブリッジ大学と共同で立ち上げた。
Microsoft Research Cambridgeのディレクターを務めるChris Bishop教授によると、「Microsoft Research-Cambridge University Machine Learning Initiative」は、優秀な機械学習の研究者が大学から民間部門へと、大量に流出しているのを食い止めるのが狙いだ。
近年、Apple、Amazon、Facebook、Googleなどの企業が、学術界で得られる2~5倍の高給を提示して、 「大量の」科学者を引き抜いていると報じられている。
Bishop教授は、「我々はこうした状況を非常に懸念している。学界の一流の教授や研究者は研究のみならず、この分野の次世代の人材を育成する立場にあるからだ」と述べた。
「この数百万ポンド規模のプログラムでは、博士号の奨学金を用意するほか、ポスドク、インターンシップ、コンサルティングのポジションに投資する」と、Bishop教授は説明した。
「このプログラムの真の目標は2つある。1つ目は、ヒューマンエクスペリエンスを高めるためにAIの潜在能力を実現すること、2つ目は次世代の研究者と人材を育成することだ」(同氏)
発表には英デジタル・文化・メディア・スポーツ省のJeremy Wright大臣もコメントを寄せ、この提携は大手民間企業とともに次世代の技術を支援するIndustrial Strategy Challenge Fundのプロジェクトに10億ポンド(1460億円)を投資する英政府の取り組みを後押しするものであると述べ、英政府が今後4年間で最大5000万ポンド(73億円)を「Turing AI Fellowships」に投じて世界有数のAI研究者を英国に招致することや、Industrial Strategy Challenge Fundの資金を11億ポンド(1610億円)に増額することに触れた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。