Bitcoinは現金を必要としない通貨だが、その代わりに電力を消費する。それによって大きな災害が発生する可能性がある。
ハワイ大学の科学者チームによると、ソフトウェアベースの通貨であるBitcoinは膨大な量の電力を消費するため、この技術が普及すれば、2048年までに地球の気温がセ氏2度も上昇する可能性があるという。Natureが米国時間10月29日に研究論文を掲載した。
Bitcoinが環境に悪影響を与えるとする分析は今回が初めてではない。Mother Jonesは12月、1回のBitcoin取引が一般家庭1世帯の1週間分に相当する電力を消費すると指摘。環境問題を専門とするGristは2017年、「Bitcoinは化石燃料からのエネルギー転換を遅らせている」と述べている。
非常に多くの処理能力とそのための電力を必要として問題を引き起こすと非難される仮想通貨はBitcoinだけではない。ハッカーがマルウェアを使って無防備なインターネットユーザーをだまし、彼らのコンピュータ上で仮想通貨「Monero」を採掘させるということがたびだび起き、被害者のマシンでは採掘作業のために他のプログラムが停止したり、コンピュータの冷却ファンがフル回転したりしている。
Bitcoinが炭素排出につながる理由はこうだ。コンピュータはマイニング用のソフトウェアを使って新たなBitcoinを採掘する。そのソフトウェアを実行する際、プロセッサに高負荷が掛かり、大量の電力を消費する。Bitcoinで行われる仮想通貨取引がまだ小規模であるにもかかわらず、Bitcoin取引で使用される電力量はとても多いと科学者らは指摘する。
「Bitcoinの使用に関しては、グローバルでのキャッシュレス決済がまだ小規模にもかかわらずカーボンフットプリントが大きくなっているという点、最新技術の下で広く使われる可能性がある点から、環境面への懸念が生じている」と、複数の異なる専門分野にまたがるハワイ大学の科学者チームは論文に記している。
今すぐにBitcoinの炭素排出が大災害を引き起こすわけではないが、Bitcoinがさらに普及すれば実際に問題が発生するだろう、と研究者らは指摘する。
「われわれの分析では、Bitcoinが一般技術のように普及すれば、電力需要の創出とともに炭素排出が拡大するだろう。これは、30年以内に地球の気温をセ氏2度以上上昇させるのに十分な排出量である」と研究論文に書かれている。
セ氏2度の気温上昇が重視されるのは、それを超えると気候変動が地球に壊滅的かつ不可逆的な影響をもたらすと科学者らが予想しているからだ。
Amer Ghazzal / Barcroft Media via Getty Images
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。