3.専用線サービス
専用線サービスとは、こちらも読んで字の通り、自社専用のネットワークサービスである。専用のネットワークであるから、自社以外に誰もいない、それ故にVPNなどの技術も必要ない、そういうサービスである。

それぞれのサービスの中にもいろいろある
前回紹介したように、この3つのネットワーク回線サービスは安全性・確実性の点で専用線サービス(松)>閉域網VPNサービス(竹)>インターネット接続サービス(梅)の順でコストに差が出てくる。流す情報と使えるコストのバランスで適切なサービスを選択するといいだろう。
さらにそれぞれのネットワーク回線サービスの中にもバリエーションが存在する。例えば、閉域網VPNサービスは主に次の2つに分類される。
- IP-VPNサービス
OSI参照モデルのレイヤ3がIP(インターネットプロトコル)で固定されたVPNサービス。レイヤ4以上は自由 - 広域Ethernetサービス
OSI参照モデルのレイヤ3以上が自由なVPNサービス。VLANというプロトコルを使ったり、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)というプロトコルを使ったりといろいろな方式がある
専用線も一見すると同じようであるが、光ファイバレベルで分離されているものもあれば、そうでないものも存在するし、そうかと思えば最近では広域Ethernet型の専用線ともいえる専用線サービスも登場している。実際のところサービスの定義付けはあいまいであると言わざるを得ないだろう。
次回予告
次回はサービスの定義付けがあいまいにならざるを得ない、ネットワーク回線サービス提供の仕組みを紹介したい。

- 飯田哲也(いいだてつや)
- アルテリア・ネットワークス エキスパート・エンジニア
- 1973年生まれ。PlayStatoinシリーズの開発に関わりハードウェアおよびソフトウェアの基礎技術を会得。PlayStation2の開発においてはPS1互換エミュレータのメインプログラマーを務める。その後、台湾楽天市場のプロデューサー兼プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてウェブサイトの構築と運用を担当。アドテクノロジのベンチャーを経て、楽天でんわおよび楽天モバイルの立ち上げに技術担当として携わる。
2016年からアルテリア・ネットワークス。レジスタからクラウドまでソフトウェアの多くのレイヤに関わった経験と、ゲーム・電子商取引(EC)・アドテクノロジ・電話・インターネット接続事業者(ISP)と多くの業界を渡り歩いた経験をもとに技術やプロダクトのリサーチ・マーケティング業務を担当。現在に至る。