日本ヒューレット・パッカード(HPE)は11月2日、バックアップ関連の新製品/新サービスとして、次世代の「HPE StoreOnce」バックアップアプライアンスポートフォリオ、コピーデータ管理ソフトウェアの新バージョン「HPE Recovery Manager Central(RMC) 6.0」、バックアップを従量課金型サービスとして提供する「HPE GreenLake Backup」を発表した。同社が戦略として掲げる「ハイブリッドITをシンプルに」というメッセージに沿った取り組みで、「ハイブリッドクラウドのデータ保護を簡素化する」という。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏
製品/サービスの発表に先立ちハイブリッドIT事業戦略の説明が行われた。執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏は、「テクノロジにより人々の暮らし方、働き方を進化させる」という大きな目標を掲げた上で、現状として「全てのものがコンピュートする世界」になっており、ITに関しては「エッジの拡大:データセンターが分散する時代へ」と移りつつあるとした。
インターネットを背景としたクライアント/サーバシステムによる大規模な分散からクラウドへの集中に切り替わり、現在ではエッジ処理の比重が高まった「エッジ to クラウド」という新しい分散型に移りつつあるという認識だ。そこで同社では、企業ITはエッジもクラウドも全て統一的に扱えるような“ハイブリッドIT”を運用することになる――というメッセージを打ち出してきた。五十嵐氏は、こうしたメッセージが他のIT各社から発信されていることに触れ、「重要なのは実行力/実現力だ」とし、戦略を現実のものにする実行力が同社の強みであり、他社との差別化ポイントだと強調、日本における戦略実行を推進していくとした。
HPE StoreOnceの概要
バックアップ関連では、まず軸となる新製品として「HPE StoraOnce」の第4世代製品群が発表された。ハードウェアプラットフォームとして同社のIAサーバである第10世代(Gen 10)のProLiantサーバを使った重複排除ストレージアプライアンスで、データ容量を20分の1に圧縮できるという。「ハイブリッドクラウドのために設計された(build for Cloud)」という点がポイントで、重複排除後の容量が大幅に削減されたバックアップデータをAmazon S3やMicrosoft Azureといったパブリッククラウドに転送する「Cloud Bank Storage」機能などを備える。
データは暗号化された自己記述型データとなり、重複排除された状態から元のデータを復元するために必要となるインデックス情報などもクラウドに転送されることから、重複排除処理に使われた元のアプライアンスが被災するなどして利用できなくなった場合にも、別の拠点に新たなStoraOnceアプライアンスを用意してデータを復元することができるなど、柔軟な運用が可能になる。なお、Cloud Bank Storageでは、オンプレミスに保存できるバックアップ容量の2倍の容量までをクラウド側に保持できるという。
RMC 6.0は、元々はHPE 3PARストレージ向けに提供されていた集中型のコピーデータ管理ソリューションの新バージョンで、新たにHPE Nimbleストレージに対応、今後はHPE Nimbleストレージにも標準添付されて提供されるようになる。バックアップ/リストアの機能も実装されているといい、採用事例として公表されているダイハツ工業では、HPE 3PAR StoreServとHPE StoreOnceを採用、サードパーティー製のバックアップソフトウェアからRMCに移行したことで、バックアップの所要時間を半分に、バップアップ関連コストを80%削減にという成果を実現したという。
HPE RMC 6.0による統合データ管理のイメージ
最後にHPE GreenLake Backupは、同社のハードウェア製品を完全な従量課金モデルで“ハードウェアをクラウドのようにオンプレミスで利用できる”サービスとして提供されているHPE GreenLakeをバックアップ環境に適用したものとなり。バックアップ環境を“as a Service”化した従量課金モデルで提供する。別の言い方をすれば、運用サービス込みのHPE StoreOnceをHPE GreenLakeの枠組みで提供すると見てよいものだろう。バックアップされたデータではなく、バックアップ対象となるデータ量に基づく従量課金となるため、バックアップとして残しておきたい世代数が多い場合などでも、課金額が膨れ上がるようなことはないとしている。
HPE GreenLake Backupの概要