海外コメンタリー

難病の治療法を模索する英組織幹部が語る、クラウドとビッグデータ活用のインパクト

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-12-07 06:30

 Parkinson's UKのデジタル変革およびコミュニケーション担当ディレクターJulie Dodd氏は、デジタル変革プロジェクトを推進することで、同団体が早く役割を終えられればよいと考えている。Parkinson's UKは、パーキンソン病の新たな治療法の模索と患者支援を目的とした英国の慈善団体だ。「われわれは、できるだけ早く治療法を発見して、事業を終えたいと思っている。この目標を達成する上で、テクノロジは重要な役割を果たす」と同氏は言う。

 Parkinson's UKは、クラウドコンピューティングとビッグデータを組み合わせて、組織全体のデジタル変革を推進しようとしている。Dodd氏は、このデータ主導の変革によって、パーキンソン病に関する共同研究を発展させ、サービスの利用者にメリットを提供できると述べている。

 「われわれは、製薬会社や慈善団体、学術機関など、多くの国際組織と協力関係を結んでいる」とDodd氏は言う。「パーキンソン病に関する理解を助けるデータを共有することは、われわれの仕事の中核だ。従って、情報の共有を促進できるテクノロジを利用できるようにすることは重要だと言える」

 Dodd氏は、分野を問わず、あらゆる組織はクラウドファースト戦略を検討すべきであり、その戦略は、ソフトウェア、プラットフォーム、インフラなどあらゆる環境に及ぶべきだと考えている。

 「Parkinson's UKがデジタル変革プログラムをスタートさせたとき、その戦略のあらゆる部分で、クラウドベースのデータ管理ソリューションの導入について重点的に考えていた。このテクノロジの影響は大きく、今では、以前どのように事業を進めていたかを思い出すのが難しいほどだ」(Dodd氏)

 同団体では、デジタル変革の取り組みを支えるために、Snowflake Computingが提供しているクラウドベースのデータウェアハウス技術を導入している。

 ただし、今でこそビッグデータとクラウドの組み合わせがよい結果を生んでいるが、最初からそうだったわけではない。Dodd氏が2016年8月にParkinson's UKに参加したとき、そこにあったのは、連携していない多数のバラバラなデータベースだった。

 「われわれは多くのデータを持っていたが、それらは分断されていた」とDodd氏は話す。同団体には、寄付をしてくれた支援者のデータや、同団体のサービスを利用している顧客のデータ、治療法について共同研究を行っている研究者のデータなど、さまざまなデータベースが方々に散らばっていた。

 「これは慈善団体にはありがちな問題だ」とDodd氏は言う。「作成されたデータは、各システムに捕らえられた状態になっている。そのうちに、事業の変革にデータの力が役に立つことに気づく瞬間が訪れるが、その瞬間がやってくるのは、いつでもデータの蓄積方法が完全に間違っていたことに気づいた後のことだ」

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