思い出してもらいたい。コンピュータネットワークの基本単位はコンピュータとコンピュータをつなげることだった。ネットワークの構築を考えるとき、筆者はその用途を因数分解していくことが重要だと思っている。
仲間と情報を共有しよう
なぜ、会社という集団を作って人々は働くのだろう? 同じ志を持つ仲間と協力し合うことにより、一人では成し得ない成果を出すことができるからだと筆者は考える。その仲間と情報を見える化し、共有し合うところからネットワークは始まる。そう、LAN(Local Area Network)の構築だ。
会社にはさまざまな働き方がある。同じ場所に集まり、決まった席に座って働くという働き方。同じ場所に集まるが、いろいろなところに出歩いていって社内コラボレーションを活性化しようとする働き方。果ては場所や時間は関係なく働きたいときに働けるような働き方など、今の世の中、働き方に制限はなくなりつつある。働き方改革とはよく言ったものだ。
実はこの働き方により、ネットワークの構成は異なってくる。例えば上記の3つの例で言えば、
- 同じ場所に集まり、決まった席に座って働くという働き方 → 有線LAN
- 同じ場所に集まるが、いろいろなところに出歩いていって社内コラボレーションを活性化しようとする働き方 → 無線LAN
- 場所や時間は関係なく働きたいときに働けるような働き方 → LAN+WAN
…のようにざっくりとネットワークのあるべき構成を決めることができる。そう、ネットワーク構成を考えることは自社の働き方を決めることでもあるのだ。
まずは世界とつながろう
会社にさまざまな人が集まり、それぞれがコラボし合って新しい価値を生み出す。しかし、世界はとてつもなく広い。いくら会社にさまざまな人が集まろうとも世界はそれよりも多くの情報であふれている。ならば、それを得るために世界とつながろうではないか。
その第一歩ともいえるサービスがインターネット接続サービスだろう。インターネットとつながることでより多くの情報を社内に入れることができる。もちろん、サイバーリスクともつながってしまうのでその対策は忘れることはできない。しかし、そんなリスクよりも得られる情報の価値の大きさにきっとあなたは魅了されるであろう。
次は情報の発信だ
そして十分な知見を得て、オリジナルの価値を築けるようになったならばそれをぜひ世界へ発信しよう。その価値は誰もが求めるもので、多くの人が欲するものかもしれない。そうであるならばより太く、より丈夫なインターネット接続が必要になるだろう。そして、そのサービスを維持・発展させていくために、閉域網VPNサービスや、専用線サービス、SD-WANなどさまざまなネットワークサービスが必要となってくるだろう。
最後に
10回にわたってネットワークサービスにフォーカスし、誰もが必要なネットワークサービスを選択できることを目指して連載を進めてきた。本連載で示したのはネットワークサービスそのものではなく、あくまでそのカテゴリを紹介したに過ぎない。しかし、ネットワークをなぜ利用するのかを考えるとき、そのカテゴリを知っていることが重要になると筆者は考える。
カテゴリごとに優れたサービスを提供する通信事業者が存在する。当社アルテリア・ネットワークスがその1社になれれば幸いだが、ネットワークサービスを利用する方々がその上でやりたいことをやりたいようにできるようになることが筆者の切なる願いである。
- 飯田哲也(いいだてつや)
- アルテリア・ネットワークス エキスパート・エンジニア
- 1973年生まれ。PlayStatoinシリーズの開発に関わりハードウェアおよびソフトウェアの基礎技術を会得。PlayStation2の開発においてはPS1互換エミュレータのメインプログラマーを務める。その後、台湾楽天市場のプロデューサー兼プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてウェブサイトの構築と運用を担当。アドテクノロジのベンチャーを経て、楽天でんわおよび楽天モバイルの立ち上げに技術担当として携わる。
2016年からアルテリア・ネットワークス。レジスタからクラウドまでソフトウェアの多くのレイヤに関わった経験と、ゲーム・電子商取引(EC)・アドテクノロジ・電話・インターネット接続事業者(ISP)と多くの業界を渡り歩いた経験をもとに技術やプロダクトのリサーチ・マーケティング業務を担当。現在に至る。