ガートナー ジャパンは11月8日、2019年の国内企業IT支出の予測を発表した。これによると、2019年は前年比1.6%増の26.9兆円に達すると見られ、2021年まで1.0%の年平均成長率で推移すると予測される。なお、2018年の国内IT支出規模は26.5兆円となり、前年比で2.4%増と見込まれている。
これは、同社が2018年4〜6月に従業員数20人以上の日本企業を対象に実施したアンケート調査から得たもの。回答者はユーザー企業のITリーダーで、有効回答企業数は715社。
日本におけるIT支出規模予測(2018年第3四半期)
この予測について、ガートナーでは、企業が収益改善を背景に、老朽化したシステムの更改が進めていることや、2019年10月に予定されている消費税増税/軽減税率などへの対応、2020年1月のWindows 7およびWindows Server 2008のサポート終了に向けた準備も影響しているとしている。
また産業別では、Fintechの進展を受けて大規模な構造改革に迫られる金融や、医師・看護師不足と深刻化する医療費増大に対し、国を挙げて保健医療・介護システムの最適化を目指す医療での増加傾向が高く、2017〜2021年までの年平均成長率はそれぞれ1.9%、1.8%で推移する見通しとなっている。
今後3年間のIT予算に影響を与える外部環境要因について、「人材環境の変化」は直近3年だけを見ても選択率が1.6倍以上に増えている。また、「新規テクノロジの出現」を挙げる企業がこの1年で増加しており、デジタルテクノロジを本格的に自社のビジネスと結び付けようという動きが見られるという。特に、従業員数2000人以上の大企業における選択率は5割を超え、「人材環境の変化」(2位)以下を大きく引き離して最上位に挙げられている。
今後3年間のIT予算に影響を与える外部環境要因(上位3つまで選択)
さらに、デジタルビジネス関連テクノロジの導入状況については、クラウドサービスやモバイルテクノロジについては試験的な採用も含めて既に「利用中」という回答がそれぞれ65%、53%を占めており、採用が本格化している。
一方、「人工知能(AI)/機械学習」や「スマート・マシン」「VR(仮想現実)/AR(拡張現実)」「ロケーション・インテリジェンス」「ブロックチェーン」の利用率は1割以下と、総じて低い傾向となった。しかし、「AI/機械学習」については、現状の利用比率が9%に過ぎないものの、1年以内に利用予定という回答は11%を占めており、利用予定の比率が最も高い項目となった。従業員数2000人以上の大企業における関心は高く、「利用中」「試験的に利用中」の合計比率は35%に上っており、「1年以内に利用予定」も25%が選択している。