IBMがサイバーセキュリティにおいて、関連ベンダーとのオープンな協業に注力し始めた。その背景には何があるのか。
「オープンな協業」をセキュリティの重点施策に
写真1:IBM Global Security VP, Services Strategy, OfferingsのJohn M Wheeler氏
「IBMはサイバーセキュリティにおいて、テクノロジをベースとしたオープンな協業を積極的に行っていきたい」――。こう語るのは、米IBMのセキュリティ事業部門を統括するJohn M Wheelerバイスプレジデントだ。日本IBMが先頃、都内ホテルで開催した顧客向けイベント「IBM Security Summit 2018 Japan」の基調講演でのひとコマである。(写真1)
ますます高度化するサイバーセキュリティの脅威に立ち向かっていくためには、関連ベンダーがそれぞれにソリューションを提供するだけでなく、そのテクノロジを連携して対応力を高めていくべく協業を広げていく必要がある、というのがIBMの考えのようだ。ただ、その背景には、この分野におけるプラットフォーム戦略を推進したいという同社の思惑も見て取れる。
Wheeler氏は講演で、IBMのセキュリティ事業戦略における重点施策の1つとして「オープンな協業」を挙げ、現在この分野で取り引きしている200社を超えるパートナー企業を中心に、テクノロジにおいてさらに緊密な連携を図っていく姿勢を示した。そのため、同社が構築しているサイバーセキュリティへのさまざまな仕組みや脅威インテリジェンスの情報なども容易に利用できる体制を整備していく構えだ。
同氏がオープンな協業について説明する中で、筆者が興味深く感じた図の“キャッチコピー”を2つ取り上げておきたい。
ます1つは、図1の「一緒の方が強い」。同氏によると、このコピーの意図は、ベンダーだけでなく、顧客、研究者、政府、大学とも幅広く連携していくことができれば、サイバー脅威に対して一段と強力に立ち向かっていくことができるというものだ。
図1:IBMが目論むオープンな協業
もう1つは、図2の「私たちはオープンです。さあ、ご一緒しましょう」。このコピーはまさしくオープンな協業を広げようという意図をストレートに表現したものだが、IBMがこうした呼びかけを行うことに時代の変化を感じた。
図2:オープンな協業の呼びかけ