人工知能(AI)とパーベイシブ(遍在的)インテリジェンスはインダストリー4.0への道を切り拓く鍵であり、長期にわたって製造分野などに影響を与える可能性が高い。
IoTデバイス、モビリティ、クラウドサービスといった技術はスマートマシンの出現につながった。
ペースメーカーなどの医療機器や、スマートフォン、タブレット、セキュリティシステム、工場の製造機械などは、Wi-Fiとクラウドに接続されるようになったテクノロジのごく一部にすぎない。あらゆるものが接続される世界への移行は、インダストリー4.0の大きな要素になっている。
インダストリー4.0は、従来の製造プロセスや製造機器から、スマートデバイス、IoT、マシンツーマシン(M2M)技術、データアナリティクスなどが形作る世界への移行を意味している。
最新のソリューションを採用すれば(正しく導入されればの話だが)、工場の現場やサプライチェーンにおける可視性の向上や、売上高の大幅な増加、業務効率の改善など効果が得られる可能性があるが、人工知能(AI)はインダストリー4.0をそれ以上に前進させる可能性を秘めている。
米国時間11月8日、監査、コンサルティング、財務アドバイザリーなどのサービスを提供しているDeloitteのアナリストDavid Schatsky氏は、AIが製造業部門でいわゆる「パーベイシブ」(遍在的)インテリジェンスやスマートマシンの普及を後押しする触媒として果たす可能性がある役割について分析した、新たなレポートを発表した。
AIは飛躍的に進化しており、AIが組み込まれたデバイスの年間出荷台数は、2017年には7900万台だったが、2023年には12億台になると予想されている。Intel、IBM、Microsoft、Googleのような企業はすべてAI関連のプロジェクトを進めており、AIが進歩するにつれて、この種の技術はより一般的で、どこにでも見られるものになると見られる。
AIは、流通業や製造業から、医療、運輸、農業まで、あらゆる分野に急速に入り込んでいる。現在市場に出回っているソリューションはそれほど高度なものではないかもしれないが、産業部門では今よりもはるかにM2M、IoT、AIへの移行が進むと考えられている。
Deloitteによれば、AIがデータセンターを離れ、デバイスそのものに組み込まれるようになれば、インターネットに接続できない環境でも、この種の技術が使えるようになるという。
そしてこれが、変化の触媒になる。インターネット接続が不要になれば、AIは遅延が少ないネットワークのエッジでリアルタイムに機能を発揮できる。製造業について言えば、エッジでAIや遍在的なインテリジェンスが利用できるようになれば、そこで数多くの次世代技術を利用するチャンスが生まれる。