2019年のデジタル変革の方向性--AI、ロボット、IoTが中心に

Bob Violino (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-11-22 06:30

 多くの企業でデジタル変革が最優先の課題になってからかなりの時間が経っており、この状況は今後も当面続く可能性が高い。この領域では、2019年に何が待ち受けているのだろうか。ここでは、調査会社Forrester Researchが最近発表した、数多くの予想が盛り込まれたレポートの要点をいくつか紹介しよう。

具体化するデジタル変革

 同社は、2018年は「現実がデジタル変革の理想を理解」し、取締役会や最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)が、現在の企業の姿から、破綻を来すような業務の変更を行わずに理想のデジタル企業に至るにはどうすればいいかを考えた年だったと述べている。

 レポートには、「しかし世界は回り続け、顧客の要望に応える必要性と競争から受ける圧力は、今後も大きくなりつづける」と書かれている。「2019年には、デジタル変革に向けての動きは、組織全体の漠然とした取り組みから、業務に対して必要とされる変更を段階的に施すことを目標として、デジタル化に対する投資を現実的で詳細なポートフォリオとして可視化したものになる」

 Forresterは、顧客を低コストなデジタル販売チャネルに移行させたり、デジタル化された製品を発売したり、情報資産を収益化したり、業務プロセスを自動化したりといった、目に見える取り組みの優先順位が高まると述べている。レポートによれば、これがうまく行けば、このポートフォリオによる管理を用いた手法は、取り組みを加速し、緊急性が高い有望な項目にイノベーションを集中させるための、管理しやすいモデルになり得るという。

AIの基礎が形成される

 Forresterは、人工知能(AI)は変化を起こす力を持っており、未来の業務の形を実現するためのチェンジエージェントになると述べている。しかし2018年には、情報の構造化が不十分であったことや、AIが水平的でわかりにくかったことが原因で、十分な成果を挙げることができなかった。

 レポートによれば、2019年になると、企業は「AIに対する期待を実現する能力を強化するために、もっと強力な基礎を形成する」という。また企業は、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の取り組みや、業務プロセス、製品、経験のスコープを広げるための概念実証に対する取り組みを拡大し、AIが及ぼす影響への理解を深める。

ロボットが人材マネジメントを変える

 Forresterは、自動化が可能な職の7%は、自動化の進展によって失われると予想している。しかし、むしろ人材不足の方が大きな問題になる。これはさまざまな地域で、ロボットの力を活用する能力や、さまざまな場面におけるスキル不足の解決が重大な課題になるためだ。

 この問題に対して、優れた経営者は2つの相互に関連する戦略を実行し始める。その2つとは、ロボット工学指数(RQ)と、良い人材を雇用し最高の人材に育て上げる戦略だ。RQは、ロボットに命令を与えたり、ロボットと肩を並べて働く従業員にとって不可欠な学習事項・指標になる。

 レポートでは、優れた経営者は、自動化によって人材不足の問題を解決すると予想している。

IoTがビジネスに組み込まれる

 レポートによれば、大半の企業(85%)はすでにIoTソリューションを導入する予定になっているか、導入の計画を立案する予定だという。

 Forresterは、IoTを利用した製品が消費者に受け入れられるまでのハードルは依然大きいと述べている。しかし、IoTをB2Cに生かす方法の足がかりが見つかっていない一方で、B2Bへの応用は2019年中に離陸するとしている。

 Forresterによれば、IoTが有効なビジネスケースは明白だという。B2Bの分野では、業務効率の向上、企業内の連携、エッジの拡大などでIoTが活用され、一部のケースでは、パーソナライズされた顧客体験の実現にも利用されると予想されている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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