Boxの最高製品責任者に聞く、ソフトウェア開発とプラットフォームの戦略

末岡洋子 2018年11月21日 06時00分

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 企業向けにセキュアなオンラインストレージを提供する企業としてスタートしたBoxは、コラボレーションプラットフォームへと拡大している。拡大戦略の鍵を握るのは何か――最高製品責任者(CPO)を務めるJeetu Patel氏に提携やプラットフォームの取り組みを聞いた。

--「デジタルワークプレイス」「デジタルビジネス」というキーワードを打ち出している。Boxの現在のメッセージは何か。

Box 最高製品責任者のJeetu Patel氏
Box 最高製品責任者のJeetu Patel氏

 既存の企業は、どこもデジタルビジネスに転身すべく、顧客とのエンゲージ、サプライヤーやパートナーとのエンゲージの方法、ビジネスプロセスの自動化、ビジネスプロセスの拡大方法などを考え、システムに取り込んでいかなければならない。そのために正しいツールとインフラが必要であり、Boxは次のものを提供する。

 1つはデジタルワークプレイス、もう1つはデジタルビジネスの機能の提供とプロセスの自動化になる。さらに3つ目として、これら全てを安全に、かつ規制を順守し、プライバシーを保護した形で構築・維持できる。

 だが、これら全てをそろえていることがパワーではない。単一のプラットフォームにそろっていることがパワーとなる。Boxは、これらを備えた単一のプラットフォームを構築しており、市場のさまざまなセグメント、さまざまな地域、顧客セグメントに応用できる。

 クラウドコンテンツマネジメントのための単一のプラットフォームを持つことで、企業は従業員にデジタルワークプレイスを提供できる。デジタルワークプレイスとは、従業員がいつでも、どこでも、どのデバイスからでも作業ができる環境だ。また、社内外の誰もがコンテンツを安全に共有できる環境でもある。

 われわれは、顧客企業がわれわれの提携企業とともにベストオブブリード型を構築するのを支援する。つまり、他社製品を使う従業員、パートナー、サプライヤーと協業できるし、Boxの体験もできる。他社製品でBoxコンテンツを利用したり、Boxから他社製品を起動したりと、2つの方向で利用できる。

 このようなデジタルワークプレイスを実現する単一のプラットフォームを提供すると同時に、ビジネス全体のオペレーションの再考も進めている。これにより、顧客は自社のデジタルビジネスをユニークなものにできる。

 幸いなことに、われわれはアーキテクチャのビジョンをしっかりと構築し、むやみに機能を加えることはしなかった。最初に構築したクリーンアーキテクチャを活用できる。コンテンツのライフサイクルでシステムを切り替える必要がなく、ライフサイクル全体でポリシーを適用できる。このように、アーキテクチャを先に構築していたからこそ得られるメリットがある。新機能を加える時は、コアの強さを維持することに注意して加えている。

--プラットフォームを目指す企業は多いが、Boxのプラットフォームを使う理由と、ここでの戦略は何か。

 われわれの戦略は、ユーザーが自分たちの問題を解決することだ。まずはBox内でユーザーの問題を解決できるためにツールや機能を提供する。もし、ユーザーが他のアプリケーションを使っており、Boxからそのコンテンツにアクセスして、他のアプリケーションで問題を解決するというのであれば、われわれはそれを可能にする。逆に、Boxから他のアプリケーションを使ってBoxに戻るという場合でも、その機能を提供する。

 顧客は、Boxにとどまる、あるいは別のアプリケーションを使うといったことを意識していない。重要なのは問題を解決することであり、顧客が問題を解決するために最も効率の良い方法が何かを常に考えている。自社のことだけを考えると顧客のためにはよくないことが多く、そのアプローチでは素晴らしいソフトウェアを構築できない。遠回りしているように思われるが、顧客にとって最適なことは何かを考えることが、自社のメリットにつながる。

 プラットフォームで最も重要なことは、エコシステムが提供する集合的な価値だ。これは、われわれ単独で提供するコンポーネントの価値を上回る。

 今後5~7年で、世界はもっと良い場所になるだろう。エコシステムの各プロバイダーがお互いの技術を統合し、コンテンツやコラボレーションがスムーズに流れるように進んでいく。これを実現することにワクワクしている。これは「働き方」という点でもベターだし、自分が得意なことにフォーカスできる。チームが生む集合的なパワーは、優れた個人(一人)をはるかに上回る。

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