CEO発言にみるGoogle Cloudの2年間の軌跡
Googleが米国時間11月17日、Google Cloudの最高経営責任者(CEO)を務めるDiane Greene(ダイアン・グリーン)氏が2019年1月で退任し、後任にOracleで直近まで製品開発を統括するプレジデントを務めていたThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏が就任すると発表した。
Google CloudのDiane Greene CEO(9月19日開催の自社イベント「Google Cloud Next in Tokyo '18」にて撮影)
発表内容については関連記事をご覧いただくとして、この機にGoogle Cloudのエンタープライズ事業について、筆者が印象に残っているGreene氏のこれまでの発言と、こうすれば脅威の存在になるのではないかというポイントを考察してみたい。
Googleがエンタープライズ市場に向けたクラウド事業に本腰を入れ始めたのは、およそ2年前のことだ。その際、インフラからアプリケーションまで全ての関連サービスを「Google Cloud」ブランドに統合した。
当時、来日したGreene氏にグーグル日本法人が開いた記者会見で、「クラウドサービスにおいて、GoogleはAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftに後れを取っているようだが、どう巻き返すか」と聞いた。
すると同氏は、「Googleは長年にわたってクラウドを運用し、順次サービスを提供してきており、その豊富な内容や利用者数の推移から見ても、後れを取っているとは思っていない」と反論した。その上で、「クラウドへ移行した企業の割合はまだ1割足らず。本格的に普及するのはまさにこれからだ」との認識を示した。
上記のやり取りや当時の筆者の考察については、2016年10月6日掲載の「一言もの申す」コラム「巻き返しなるか?Google Cloudの行方」を参照していただきたい。
そして2018年9月、Greene氏は日本法人が開催した自社イベントの講演で、クラウドについてこう述べている。
「企業におけるクラウド利用率はおよそ1割といったところではないか。ただ、最近になって自社のシステムを抜本的に刷新するためにクラウドへの移行を検討し始めた企業が増えてきたと実感している」
興味深いのは、2年前の発言と比べてクラウド利用率「1割」が変わっていないことだ。クラウド利用率についてはさまざまな捉え方があるので、実際に1割かどうかはさておいて、Greene氏がこの2年間でクラウド化が大きく進んだとは見ていないことがうかがえる。
こちらの自社イベントの講演での同氏の発言については、2018年9月21日掲載の「今週の明言」コラム「Google Cloud CEOが語った競合に対する優位性」を参照していただきたい。