日本マイクロソフトは11月21日、新たな働き方改革として、ミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティー「MINDS(Millennial Innovation for the Next Diverse Society)」を2019年1月1日に発足させると発表した。
MINDSには、カブドットコム証券、パナソニック コネクティッドソリューションズ、三菱自動車工業、電通デジタル、東日本旅客鉄道、日本マイクロソフト、日本航空、味の素の8社が参加、運営事務局を電通デジタルと日本マイクロソフトが務める。日本マイクロソフトで担当する執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員の手島主税氏は、「2020年までにコミュニティーを通じて、1万人の新しい働き方を創出する」との意気込みを語った。

MINDSミレニアムプロジェクトリーダーたち。味の素 人事部労政グループの古賀吉晃氏、カブドットコム証券 人事室 サブリーダーの野村天生氏、電通デジタル データ/テクノロジー部門 ソリューションディベロップメント事業部 セールス&アライアンスグループの廣瀬徹氏、日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部 アシスタントマネージャーの山本築氏、日本航空 人財本部 人財戦略部 ワークスタイル変革推進グループ アシスタントマネージャーの東原祥匡氏、パナソニック コネクティッドソリューションズ カンパニー戦略企画室 事業推進部 事業推進課の秋本一志氏、東日本旅客鉄道 事業創造本部 経営戦略部門 総務・企画グループの針替孝之氏(左から)
日本マイクロソフトは、2018年4月に働き方改革の文脈で、国内企業の事例を紹介。約半年ぶりとなる今回の記者会見では、業界・企業の垣根を越えたコミュニティーの設立を明らかにした。同社は革新を創出する3支柱として、「新たな企業文化の醸成・共感の創出」「社員の創造性。人の洞察とテクノロジーの共創」「従来の規制・習慣からの脱却」を掲げ、「われわれは働き方改革ではなく、人を通じた企業・社会変革とイノベーションの創出を目指す」(手島氏)としている。

MINDSの概要
米MicrosoftおよびIDCの調査によれば、今後3年間にデジタルテクノロジの影響を受ける業種は89%に上る。このうち38%は業種内容が変化し、27%が新規創出、24%が無くなる業種だという。この数値を踏まえて手島氏は、「これまでとは異なるワークスタイルが必要となる。AI(人工知能)が代替する業種もあるが、人の創造性や洞察を活用するによう洗練されていくだろう。企業は(この変化に)準備しなければならない」と、働き方改革をさらに推進する必要性とMINDS設立の意義を説明した。
また、日本マイクロソフトが掲げる「働き方改革NEXT」について、最前線で働く人々を指す「New Work Style」、ミレニアル世代(米国における1980~1990年代に生まれた世代。ジェネレーションYとも呼ばれる)を指す「Innovator」、2020年の教育改革として「Future Ready Skill」の3軸に注力する。MINDSの軸となるミレニアル世代は、2025年までにグローバル労働人口の75%が35歳以下、日本は約50%と言われているが、同社は「生産年齢人口×ミレニアル率×普及率の壁」という試算をもとに、「働き方改革の代理人・伝道者となる約580万人が日本社会の変革に必要」(手島氏)と見る。そこでMINDSを通じ、「多様性のあるコミュニティーで改善しないと創造性を作ることは難しい、社会に貢献する人材を創る」(同)としている。

日本マイクロソフトが掲げる「働き方改革NEXT」のイメージ
MINDSでは、各企業の若手世代が集まって実証実験を自社に持ち帰り、エグゼクティブスポンサーを通じて、新しい働き方の実践と提言を行う。東京大学先端科技術研究センター 講師 博士(工学)の檜山敦氏がアドバイザーに就任し、産学連携も行う。「リーダーが各自持ち帰ったアイディアをエグゼクティブスポンサーが取り組むという循環が大事。社会変革の一歩として企業を巻き込みたい。また、大学生にも間口を広げるなど双方連携もポイント」(MINDSコミュニティリーダーを務める日本マイクロソフトの山本築氏)
まず、2019年1~12月の1年間を最初の区切りとして活動を開始する。各企業から5人程度のミレニアル世代が加わり、第1段階は、参画企業担当者のコミュニケーションを通じて、ミレニアム世代からの"気づき"をまとめる。第2段階では、議論を重ねて活動内容を決定し、実証実験を行う。そして第3段階で結果を参画企業が共有し、「(内容によっては)政府や系座団体にも提言する」(山本氏)との予定だ。
山本氏によれば、米Microsoftも同様の取り組みを行っているが、それぞれ独立した形でプロジェクトがスタートしている。「米国本社を訪れた際に存在を知り、メンバーと同じ危機感や課題感を共有した。現在は密な連携を始めた状態」(山本氏)といい、日本での具体的な行動計画は2019年以降の発表を予定している。
参画企業は、「ミレニアル世代には当然の働き方改革の変化を痛感している。老いては子に従えではないが、MINDSの活動で日本社会を変えることが楽しみだ」(味の素 人事部労政グループ シニアマネージャー 菊池さや子氏)、「来年で20年目の節目を迎える当社は、新たなイノベーション創出を通じて、多様な議論や働き方を学べることにワクワクしている」(カブドットコム証券 システム開発部長 小田豊氏)、「デジタル化による社会の変化や、働き方の環境変化は切っても切れない。自分事として参画し、将来に向けた働き方変革を主体的に取り組みたい」(電通デジタル 執行役員 コーポレート部門長 早武淳氏)、「働き方そのものの効率化や抜本的改革はこれから。オフィスや空港、機内、現場でも新しい働き方が必要。各企業と連携しながら研究し、広く発信したい」(日本航空 人財本部 人財戦略部長 福家智氏)、「MINDSは複数のメンバーで今後を担うミレニアル世代が集まっている。活動成果を当社に取り込み、成功に尽力したい」(パナソニック コネクティッドソリューションズ 人事センター 人事企画課長 高柳光弘氏)と、コメントを寄せた。

「MINDS」へ参画する各企業のエグゼクティブスポンサー。日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員の手島主税氏、味の素 人事部労政グループ シニアマネージャーの菊池さや子氏、カブドットコム証券 システム開発部長の小田豊氏、電通デジタル 執行役員 コーポレート部門長の早武淳氏、日本航空 人財本部 人財戦略部長の福家智氏、パナソニック コネクティッドソリューションズ 人事センター 人事企画課長の高柳光弘氏、MINDSコミュニティリーダー(日本マイクロソフト)の山本築氏(左から)