エンタープライズセキュリティを日本から世界に--ESETのマルコCEO

大河原克行 2018年12月06日 06時00分

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 スロバキアのセキュリティベンダーESETが、9月にキヤノンITソリューションズとの合弁で日本法人「イーセットジャパン」を設立した。ESET 最高経営責任者(CEO)であるRichard Marko氏は、「これまで以上に日本でのブランド認知度を高める一方、エンタープライズ分野への本格展開を開始する。日本法人の設立は、それには不可欠な取り組み」と語りながら、「キヤノンITソリューションズとの関係はこれまで以上に強固なものになる」とも語る。

 Marko氏と、イーセットジャパン カントリーマネージャーの黒田宏也氏、キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部エンドポイントセキュリティ企画本部企画部長の輿水直貴氏に、イーセットジャパン設立の狙いなどを聞いた。

--ESETが日本市場に参入してから15年を経過しています。日本法人設立までに随分、時間がかかりましたね。

ESET 最高経営責任者のRichard Marko氏
ESET 最高経営責任者のRichard Marko氏

Marko氏 日本は、ESETにとって22番目の拠点となり、アジア太平洋地域ではシンガポール、シドニーに続いて3番目になります。日本は、ITセキュリティ市場としては米国に続いて2番目の市場規模を誇り、ESETにとっても大切な市場です。日本のエンドポイントセキュリティソフト市場では年間5000万台以上のモバイルデバイスが出荷されており、市場規模は1100億円を超えています。さらに、今後も高い成長を遂げると予想されている市場です。そうした市場環境において、ESETは業界平均を上回る成長を遂げており、日本では、この15年間でゼロから業界4位となる7%のシェアを獲得するところにまで成長をしてきました。また、日経コンピュータ誌による顧客満足度調査では、ESETがセキュリティ対策製品部門で6年連続の第1位を獲得しています。このような評価を得ていることはとても光栄であり、今後もこれを維持できるように努力していきます。

 こうした成果を振り返ったとき、キヤノンITソリューションズという素晴らしいパートナーに恵まれたことが見逃せません。私たちの要求に応え、日本におけるビジネスを急成長させてくれました。正直に言えば、日本市場だけの取り組みという観点では、これほど素晴らしいパートナーがいますから、それほど日本法人の必要性を感じてはいません。しかし、ESETがよりグローバルに事業を展開していく上で、われわれにとって重要な位置付けを担う日本の市場で、日本法人を設立する意味があると感じました。

 ESETでは、新たなビジネスとしてエンタープライズ向け製品を投入します。日本でも、大きなオポチュニティがある分野です。今後、新たな製品ポートフォリオを展開する上でも、日本法人を設立した方が良いと判断しました。これまでと同様に、今後も2桁成長を維持することで、日本で3位のポジションを狙いたいと考えています。

黒田氏 日本では、2015~2018年の年平均成長率が12%成長を続けており、市場の成長を上回っています。イーセットジャパンは、キヤノンITソリューションズとの連携のもと、今後3~5年間でトップ3のベンダーになりたいと思っています。ただ、今の顧客セグメントを見ると、6割が法人、4割が個人であり、その中で法人需要のほとんどが中堅企業です。つまり、今後の成長機会は従業員規模1000人以上のエンタープライズ企業となります。ここでは、エンドポイントを守るだけでなく、脅威に対してどう予知をするのか、エンドポイントをすり抜けた脅威をどう管理していくのか、といったところまで対応できるソリューションが必要です。そのためには、日本法人の設立が不可欠でした。

Marko氏 今後のグローバルでの成長において重要な柱となるエンタープライズ領域に向けた新たなソリューションを展開する上で、製品だけでなく、高度なセキュリティエンジニアが提供するプロフェッショナルサービスも組み合わせることになります。また、最大の価値とメリットを提供するためには、日本のエンタープライズユーザーとも緊密な関係を構築することで、その声を製品の進化にフィードバックさせたいと考えています。

 過去に、エンタープライズ企業が当社製品の導入を検討したことがありましたが、当時は日本法人がないこと、ESETによる直接サポート体制がないことが課題でした。日本法人の設置によって、こうしたエンタープライズ企業ならではの要望にも応えられるようになります。東京・品川という素晴らしい場所に、新たなオフィスを構えることができました。パートナーであるキヤノンITソリューションズのオフィスにも近いですし、近くにはIT関連企業も多いですから、社員の雇用にも最適な場所です。もしかしたら、すぐに手狭になってしまうかもしれませんね(笑)。

--カントリーマネージャーの黒田氏には、どんなことを期待しますか。本人の前だと言いにくいかもしれませんが(笑)

Marko氏 20年以上にわたってITソフトウェアビジネスに従事してきた経験を生かしてもらえると期待しています。ESETの方針や目標を理解してもらっており、さらに、本社や拠点のシンガポール、キヤノンITソリューションズとの間で取りまとめができる人物です。黒田氏に出会えたことはとてもうれしいことですし、日本法人の大きなチャレンジを推進する役割を担ってくれるでしょう。

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