APIセキュリティ入門(6):API開発者が知っておくべき、APIの防御手法

バンダリ・ハレンドラ (アカマイ・テクノロジーズ)

2018-12-07 06:00

 APIへの攻撃手法について前回の記事で説明した。本連載の最終回となる今回は、APIへの攻撃に対する防御方法とセキュリティ戦略について説明する。

 APIは、企業が保護すべき情報を含むデータリソースへのインターフェースとなっていることが多く、サイバー攻撃の主要な標的となっている。このような状況の変化から、APIに迫る脅威の認識の広がりと、そのリスクアセスメント、セキュリティ体制構築の必要性が急速に高まっている。

 ここでは、APIシステムを構成する複数のコンポーネントがそれぞれ攻撃の標的となるため、アタックサーフェス(Attack Surface)非常に広い点に留意しなければならない。それらを守るには、さまざまな対策の組み合わせが必要だ。

 まず、APIのセキュリティ対策を大きく以下の2つに分けて考えてみよう。

  • 1.セキュリティを考慮したSDLC(システム開発ライフサイクル)
  • 2.APIセキュリティソリューションの適用

1.セキュリティを考慮したSDLC(セキュアSDLC)

 APIを用いるシステムの開発ライフサイクルの中にセキュリティを組み込むことで、基礎的なセキュリティを確保することができる。SDLCのサイクルの中で実施すべき要素を順に挙げていく。

1.1 コンポーネントの管理

 APIエコシステムには、多くのソフトウェアコンポーネントが含まれるため、コンポーネントの管理が重要となる。コンポーネントのいずれかに脆弱性が存在すると、アプリケーション全体のリスクにつながるし、不正に改ざんされたコンポーネントをダウンロードして組み込んでいる可能性もある。各コンポーネントのバージョン、ダウンロードソース、脆弱性などの情報を管理し、計画的に各コンポーネントのバージョンを更新しなければならない。

1.2 ユーザー入力の確認

 攻撃ペイロードはAPIへの入力の一部に含まれる。入力されるデータは可能な限り厳しく検証しなければならない。ユーザーの入力に対して、次の2種類の処理を行うことが望ましい。これを確実に実施することで、連載第5回で述べた「ウェブアプリケーション攻撃」への対策を強化できる。

入力形式の検証

入力の型(整数、文字列)、最大値/最小値、文字列長などのチェックを行う。これによりアプリケーションロジックに処理可能な入力のみを許可する。

入力のサニタイズ(無害化)

入力値をプログラムにとって安全な形式に置き換える。悪意な入力を安全な形式に変換することで、システムを攻撃から保護する。


1.3 セキュリティテスト

 開発ライフサイクルにセキュリティテストを組み込むことで、APIのセキュリティレベルを向上できる。公開前に、APIに潜む脆弱性を見つけ出すことがセキュリティテストの目的だ。次に主なセキュリティテストを2種類挙げる。

SAST(Static Application Security Testing)

アプリケーションを起動しないで、APIのソースコード、バイナリやバイトコードの静的な検証を行う。このテストでは、ソースコードレベルで発生する一般的な脆弱性を見つけることができる。

DAST (Dynamic Application Security Testing)

アプリケーションを起動して行うテスト。アプリケーションに各種の攻撃に用いられるペイロードを送り、アプリケーションに脆弱性がないかを確認する。


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