Futurumはこういった優先順位が、運用効率の向上に向けたニーズを反映したものだと解釈しており、(エッジコンピューティングの正統なユースケースとしてしばしば言及されている)IoT戦略の比較的低い優先順位は「今後の数年間で変わっていくだろう」と示唆している。
エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングを別個のものと捉えているのは、Futurumの回答者のうちの15.6%のみとなっている。同社によると、このような判断はしばしば、データやシステムのセキュリティに関する懸念と、運用を分けて扱うことに注力するという点からきているという。また、エッジとデータセンターを組み合わせたアナリティクスソリューションを既に配備している(28.3%)、あるいは模索している(35.6%)という答えを合わせるとぼぼ64%(63.9%)となっている。そして、これらの機能を組み合わせるか、別個のものにしておくか決めかねているとする回答が20.5%となっている。

データ:Futurum Research/グラフ作成:米ZDNet
「決めかねている」あるいは「模索している」と答えた回答者が56.1%いることを考えると、エッジコンピューティングのプロバイダーにとって大きな機会が横たわっていると言えるだろう。
2018 Outlook for Fog Computing(2018年におけるフォグコンピューティングの展望)より
OpenFog Consortiumは2017年12月、61のメンバー組織を対象にフォグコンピューティングの状況について調査を実施し、70%もの最高経営責任者(CEO)が自社内にフォグコンピューティングイニシアティブがあると認識しているという結果を得た。
2018年のフォグコンピューティング予算は概して増加する(40%)あるいは同じ(51%)であり、減少すると回答したのは5%にすぎなかった。イニシアティブの中心は主に研究開発部門(51%)であり、大多数はIoTアプリが主な注力分野(70%)だと捉えている。
OpenFogの回答者のなかではセキュリティ(32%)が最大の懸念となっており、初期段階で実績のないテクノロジや、相互運用性、不明確な投資収益率(ROI)に対する不安が続いている。また、フォグコンピューティングに向けた主な原動力は、レイテンシと帯域幅への懸念となっている。回答者はフォグコンピューティングを採用する業界として製造業やスマートシティ、運輸を上位に挙げており、その後にエネルギーやヘルスケア、スマートホームが続いている。
鍵となるベンダー
エッジ/フォグコンピューティングによって、クラウドのデータセンター内で稼働しているワークロードが奪われる可能性もあるため、クラウド分野の巨人がワークロードの流出を防ぐために手を打っているのは驚くべき話ではない。
Amazon
Amazonの開発者向けカンファレンス「AWS re:Invent 2016」で発表された「AWS Greengrass」は同社の「AWS IoT」と「AWS Lambda」(サーバレスコンピューティングサービス)を活用したものであり、断続的に接続されるエッジデバイスに対してAWSのサービスを提供するものとなっている。