電子情報技術産業協会(JEITA)の柵山正樹会長(=三菱電機会長)は12月18日、2018年最後の記者会見を行い、「JEITAはあらゆる産業をつなぎ、業種や業界を超えて社会課題に向き合う、課題解決型の業界団体を目指してきた。2018年はここ数年の変革をさらに進めた1年で、さまざまな産業とともに創る『共創』を進めることができた」と総括した。
JEITA会長(三菱電機会長)の柵山正樹氏
JEITAは、2017年に会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカー企業に限らず、IoT(モノのインターネット)に密接に関係する企業まで入会資格を拡大した。JTBや損害保険ジャパン日本興亜、戸田建設、セコムのほか、ABEJAをはじめとするベンチャー企業など、24社が新たに入会している。「会員数がここ数年右肩上がりに増加し、現在は390の企業/団体に達した」という。
また、2017年に「スマートホーム部会」を発足。会員企業のほか、住宅や住宅設備、電機、通信などの業界団体とも連携して、データの共有や活用の取り組みを進めている紹介し、「スマートライフは、政府の『Connected Industries』で掲げる5つの重点分野の一つ。その一つを担うスマートホームは宅内外のあらゆる機器、住宅設備、サービスが連携することではじめて実現するものになる。JEITAでは、データカタログの構築を進めている。これは業界を超えた連携を進めるための枠組みとなり、各事業者が共通で活用することができる。また、スマートホーム部会では、2018度中にガイドラインを策定する予定である」と語った。
さらに、2018年10月開催の「CEATEC JAPAN 2018」についても振り返り、このイベントを、「あらゆる産業による『共創する未来』を発信する場」と位置付けながら、「家電見本市の枠を超え、IT・エレクトロニクス業界だけにとどまらず、さまざまな産業、業種の出展企業から、データの連携や利活用によって、社会課題を解決する革新的なソリューションやサービスの提案、新たなビジネスモデルが披露された」と述べた。
CEATEC JAPAN 2018と併せJEITAでは、「グローバルシンポジウム」「Connected Industries カンファレンス」「AIおよびデータ利活用政策に関する日米欧3極官民会合」も実施。これらイベントには現職の3大臣が視察に訪れ、学生の来場も前年比約2000人増となった。柵山氏は「特に次世代を担う学生たちには、業界分野を見て、聞いて、考える絶好の機会としてCEATECをさらに発展させていきたいと考えている」と話す。
ベンチャー企業との共創では、新たに「JEITA共創プログラム」を開始。第1弾として、水中および海中の光無線通信技術をテーマとする「アクアLANコンソーシアム」を採択し、2019年には第2弾を採択する予定であるとした。第4回のJEITAベンチャー賞では、現在、推薦者からの応募を受けつけており、2019年3月に表彰式を実施する予定となっている。
さらに、54回目を迎えた放送技術展示会「Inter BEE」では、コンテンツを中核とする「メディア総合展」に進化させるための変革を推進。デジタルコンテンツ協会が主催する「デジタルコンテンツEXPO」を初めて同時開催し、放送機器だけの展示会から、コンテンツを「つくる」「おくる」「うける」を網羅するメディア総合展へと進化させたという。その一方で、日本企業の国際競争力向上に向けた事業環境の整備、研究開発税制の要望、海外産業界と連携した保護主義の拡大阻止、越境データ流通の自由化を目指す活動――などにも精力的に取り組んできたことを示した。
最後に、「Society 5.0の未来に向けた取り組みが進展するのに伴い、あらゆる分野において、IT・エレクトロニクスはこれからますます重要になる。あらゆる産業と連携しながら、Society 5.0の実現に向けた市場創出と事業環境整備に重点的に取り組んでいく方針だ。CEATEC JAPANは、来年には20周年を迎え、テクノロジを見せる展示会ではなく、テクノロジで社会をどう変えていきたいのかを発信する展示会として、豊かな社会の未来を描けるように取り組んでいく」とした。なお「CEATEC JAPAN 2019」は、2019年10月15~18日に幕張メッセで開催を予定する。