今回は、SAPジャパンの福田譲社長が自社のイベントで語った「データが織りなす“進化のDNA”」についての話が非常に興味深かったので取り上げたい。
古代人は「1年=365日」をどのように発見したか
「人間はデータでどんどん賢くなってきた」――。SAPジャパンが先頃開催した「SAP Leonardo NOW Tokyo」の冒頭スピーチで、福田氏はこう話し始め、次のような話題を取り上げた(写真1)。以下、福田氏の語りで記しておく。
写真1:SAPジャパンの福田譲 代表取締役社長
古代人はどのようにして「1年=365日」を発見したのか。調べてみたところ、今から6000年ほど前に作られた古代エジプトの神殿の彫刻に、既に記されていたことが分かった。
なぜ、1年が365日だと把握できたのかというと、夏、太陽が昇る直前の東の空に、地上から見える最も明るい星であるシリウスの存在が深く関係していた。シリウスが明るく輝くと、まもなくナイル川で洪水が起きた。そうしたシリウスの見え方が暦の発端になっていった。
では、4年に1度訪れる「うるう年」は、どのようにして発見されたのか。実は、80日ほどズレてから、どうもおかしいということになり、今から2000年ほど前にうるう年を踏まえた「ユリウス暦」が誕生した。
ちなみに、ユリウスというのは、あのジュリアス・シーザーのことだ。つまり、シーザーがユリウス暦を定め、それが欧州から世界中へ広まっていった。
だが、それでも暦はズレた。実は、100で割り切れる年はうるう年ではない。ただし、400で割り切れる年はうるう年のままにするということがある。これは「グレゴリオ暦」と呼ばれ、私たちは2000年に経験した。このグレゴリオ暦が発見されたのは1564年のことだ。
すなわち、1年が365日だということは6000年前に分かっていたが、それからうるう年が発見されるまでに4000年かかり、さらに100年・400年の法則が発見されるのに1500年余りかかったと。実に長い年月を経て、人間は1年に1回もしくはひと月に1回のデータを蓄積し、賢くなってきたわけである。