今回は、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用したマーケティング施策におけるKPIの考え方、評価について解説します。
本連載では、「集客」「獲得」「選別」「接触」「営業」の各ステップを意識して施策を考えることをお伝えしてきましたが、重要業績評価指標(KPI)を設定する際でも同様です。しかし、KPIでは各ステップで縦割りにして考えるのではなく、各ステップを通して考えることがとても重要になります。
KPIは「ミルフィーユ作戦」で評価しやすくなる
「集客」「獲得」「選別」「接触」「営業」の各ステップのいずれかに課題があると、その課題に対応するための施策を実施しがちです。例えば、集客に課題があるから集客のためのコンテンツを増やしていこう、獲得に課題があるから獲得のためのフォームを改善しようといった具合です。
課題を解決するための施策を実施すること自体は間違っていないのですが、そのステップだけに注力してしまうと、間違った方向に努力してしまうことがあるので、注意が必要です。一体どういうことでしょうか?
例えば、A社ではウェブサイトへの訪問者数をKPIにしました。そもそものアクセス数が少なかったことから、集客の増加を考えてコンテンツの量を増やし、リスティング広告も実施しました。結果、ウェブサイトへの訪問者数が倍増し、目標だったKPIをクリアしました。このステップだけでみれば施策は大成功となります。
しかし、集客以降のステップではどうでしょうか。本来必要なペルソナのリードは取れたのか確認してみたところ、獲得件数は施策の実施前とほとんど変わらないことが分かりました。ということは、最終的な顧客獲得というゴールから見て、今回の集客施策は成功だったとはいえないことになります。
こうした“失敗”はよく起こることで、そもそも獲得段階から先の数値を見ていなければ、失敗していることにも気付きません。単にウェブサイトへの訪問者数を増やすことにだけに目を向けてしまうと、施策はうまくいっているように見えるのに、成果が出ないということに陥りがちです。
そこで、薄くてもいいから、各ステップを全て通した上で評価する方法をお勧めしています。数カ月、数百万円と時間と費用を掛けて、大がかりなキャンペーンを実施するよりも、小さな施策を複数実施して、それぞれを通して評価することを積み重ねていくのです。私はこれを「施策のミルフィーユ作戦」と呼んでいます。
KPIは各ステップを縦割りで見るのではなく、横串で見ていく、そしてミルフィーユのように施策を積み重ねていくことを忘れないようにしてください。