日本ハムとインターファームは12月19日、人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)を活用し、養豚の健康や発情兆候を判定する「スマート養豚プロジェクト」を開始したと発表した。NTTデータとNTTデータSBCが技術支援を行う。
このプロジェクトでは、豚舎に設置されたカメラや温湿度などの環境センサを利用して、複数の豚舎の状況を即時に把握。子豚の健康や母豚の発情兆候をAIで判別する技術を開発する。
従来、母豚の発情兆候を判別する場合、エサを食べる量や雄豚と接触した際の反応、人が触れたときの行動の変化などを作業員が注意深く観察して判断してきた。このように経験に頼っている作業が非常に多い養豚業務においてAIによる画像判定を行うことで、労務の軽減とともにノウハウの継承や生産性・品質の向上、安定化を図る。
開発イメージ(出典:NTTデータ)
豚舎の状況を即時に把握するため、距離のある複数の豚舎を対象とする無線通信網を構築する。また、厳しい設置環境を考慮した防水・防塵対応カメラ、温湿度などの環境センサを設置する。データや画像の蓄積により、飼育成績との関連性や人が不在となる時間の状況も的確に把握することが可能となる。環境センサは、NTTデータSBCが独自に開発した通信やセンサ制御機能などを備えたマルチセンサターミナルを採用している。
運用イメージ(出典:NTTデータ)
子豚や母豚の管理では、子豚をAIで個体認識し行動を分析することで、客観的なデータに基づき健康状態を判断できるようになる。また、疾病兆候を速やかに検知して治療を行う、豚にとって快適な温度、餌の調整を行うなど、細やかな飼育管理の実現が期待できる。さらに、母豚の発情兆候をAIで判別することで、今まで以上に適切な時期に交配を行うことが可能となり、繁殖成績の安定化、生産子豚の増加が期待できる。
日本ハムは、中央研究所とIT戦略部を軸に、養豚における研究ノウハウを提供する。また、関連するインフラとの連係、セキュリティ対策の検討・実施などを行う。インターファームは、フィールド(養豚場)の提供と養豚の飼育プロセスにおけるノウハウを提供する。 NTTデータは、AI/IoT技術や機器の提供、動画・センサデータの収集、収集したデータの取り込み、豚の発情や飼育状況を学習・判定するAIモデルの構築を行う。NTTデータSBCは、ネットワークインフラの設計、IoT機器の選定・設置、動画・センサデータの収集、閲覧ソフトウェアの提供を行う。
将来的には、開発された技術をニッポンハムグループの農場に広く展開し、さらに共同でニッポンハムグループ以外への展開を目指す。