富士通は、8192ビット規模に拡張した第2世代「デジタルアニーラ」サービスの提供を発表した。これにより、製造・金融・物流・創薬などより複雑な社会や企業の実課題への適用が可能となり、さまざまな業種・業務領域での活用が期待される。2022年度までに1000億円の売上を目指す。
同社では、2018年5月から1024ビットによる第1世代の「デジタルアニーラ」サービスを提供しているが、8192ビットまで拡張した第2世代のサービスを国内で開始し、2018年度中に北米と欧州、その後にアジアへも順次展開を予定する。
「デジタルアニーラ」は、組合せ最適化問題専用のアーキテクチャーで、実社会におけるさまざまな要因の組み合わせを考慮しながら最適解を見つけ出すことを目的にしている。これまで扱う問題の大きさを表す規模1024ビットに対応したサービスを展開してきたが、より大規模で複雑な問題を扱うには規模・精度の技術向上が必要となるため、今回は高性能プロセッサ開発で培った超高密度回路集積の技術を用いることで新たな「デジタルアニーラ」専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」を開発した。
「Digital Annealing Unit(DAU)」
これにより、ビット間全結合の規模を現在の1024ビットから最大8192ビットへ、結合精度を16ビットから最大64ビットの1845京階調まで拡張することができ、第1世代と比べ、処理速度が100倍と飛躍的に向上した。
第2世代「デジタルアニーラ」サービスは、現行のイジングマシンや量子アニーリングマシンでは扱うことができなかった複雑で大規模な問題も解くことが可能で、デジタル回路を用いていることからノイズの影響も受けにくい。また特別な冷却装置を用いることなく、室温で安定動作させることができる。
さらに「デジタルアニーラ」で組合せ最適化問題の解を求めるには、問題に応じて最適な制御パラメータを決定する必要があり、そのための専門的な知識が必要だったが、今回、演算中の状態に基づいて制御パラメータを調整する技術を組み込むことで、自動チューニングの機能を実現している。
同社では、第2世代に対応したサーバをユーザーのデータセンターに設置して利用できる「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer オンプレミスサービス(デジタルアニーラ オンプレミスサービス)」を2019年2月より提供する。
「デジタルアニーラ」オンプレミスサーバ
利用価格は、第2世代対応のクラウドサービス、オンプレミスサービスともに個別見積り。