リコーは12月26日、人工知能(AI)モデルの学習速度を26倍高速化し、電力効率を90倍向上させる回路アーキテクチャを開発したと発表した。
この回路アーキテクチャは、AIの機械学習手法の1つである「Gradient Boosting Decision Tree(GBDT:勾配ブースティング決定木)モデル」を効率化するもの。GBDTは、データベースなどで構造化された大量データの学習に高い性能を発揮する。
応用先として、オンライン広告のリアルタイムビッディング(Real-Time Bidding)、Eコマースでのリコメンデーションなどのウェブ分野、コンピュータによる株式の高頻度取引(High Frequency Trading)などの金融分野、サイバー攻撃の検出などのセキュリティ分野、ロボティクスなどが考えらている。また、モノのインターネット(IoT)機器をはじめとするエッジ端末においても、その高い電力効率を生かして、高度なモデルの学習が可能となる。
モデル学習時間の比較(出典:リコー)
1データ当たりの学習消費電力の比較(出典:リコー)
この回路アーキテクチャを、Field-Programmable Gate Array(FPGA:設計者がプログラムによって設定を変更できる集積回路)上に実装して性能を比較したところ、CPU/GPUを用いた一般的なソフトウェアライブラリ(XGBoost (extreme gradient boosting)、LightGBM、CatBoost)と比べて、26〜259倍の高速化を実現した。また、モデル学習の電力効率は、GPU/CPUと比較して90〜1105倍となり、学習したモデルの予測精度においても、これらのソフトウェアライブラリにより学習したモデルと同等であることが確認された。