IT業界の中でも、もっとも不足している職種がデータサイエンティストであることはよく知られている。
こうした必要不可欠なスキルを持つ人材が見つからない企業にとっては幸いなことに、データサイエンスは「大衆化」しつつあり、人材ギャップの問題は改善に向かうかもしれない。
コンサルティング企業Deloitteが米国時間12月13日に発表したレポートによれば、データサイエンスを大衆化させ、重要なスキルを扱える人を増やす要因が5つ存在し、現状の深刻な人材不足が緩和される可能性があるという。
機械学習のタスクの自動化。一部の推計によれば、データサイエンティストは業務時間の8割を繰り返し行われる単調な作業(データの準備、特徴量のエンジニアリングや選択、アルゴリズムの選択や評価など)に費やしているが、これらの一部または全部は自動化が可能だ。今では、大手ベンダーとスタートアップの両方が、さまざまなタスクを自動化するツールやテクニックを提供している。
コーディング不要のアプリケーション開発。ローコード開発やノーコード開発のソフトウェア開発プラットフォームは、GUIやドラッグアンドドロップ式のモジュールなど、IT部門のスタッフだけでなく、技術的な知識が少ない人でも開発を行い、人工知能(AI)アプリケーションを提供できるよう手助けする、ユーザーフレンドリーな機能を備えている。
トレーニング済みのAIモデル。Deloitteが指摘しているように、データサイエンティストのもっとも重要な仕事は、機械学習モジュールの構築とトレーニングだ。一部のソフトウェア企業はトレーニング済みのAIモデルを提供しているが、レポートによれば、これらは事実上「機械学習に関する専門技術をパッケージ化して製品化したもの」だという。これらの製品を利用すれば、トレーニングに必要な時間と手間を省くことができ、ただちに具体的な知見を生み出し始めることさえ可能になる。
セルフサービスデータアナリティクス。今では、ビジネスユーザーやその他の技術に詳しくないユーザーでも利用でき、データサイエンティストなどのアナリティクスの専門家がいなくても、データに基づく知見を得られるツールが出回っている。多くのビジネスインテリジェンス(BI)企業やアナリティクス企業がその種のセルフサービスアナリティクスツールを提供しており、最近では、それらのツールがデータのアナリティクスや発見を強化する機能も備えている。
人材育成の加速。レポートによれば、データサイエンスやAI関係のトレーニングコースが増えているという。これらのプログラムは、数学やコーディングの基本的な知識を持っており、基本的なデータサイエンスのスキルを数日から数カ月の期間で習得できるプロフェッショナル向けのものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。