朝日インタラクティブが運営するオンラインメディア「ZDNet Japan」 と「TechRepublic Japan」の両編集長が、2018年と2019年を語る新春企画。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)をテーマとした第1回に続き、第2回ではロボティックプロセスオートメーション(RPA)をテーマにそれぞれの観点から考察する。
RPAが巻き起こす問題--使い勝手×統制
田中 好伸(TechRepublic Japan編集長):ガバナンスの観点からの大きな話題になったGDPRだけど、それと逆の観点から今年一番印象に残っているテーマを上げるとすると、RPAかな。テクノロジとしては以前からあるけど、それまでシステム化できなかった部分を穴埋めできる技術という部分で脚光を浴びた。手作業の代替案としての期待の高まりを大きく感じたね。
ユーザーはもちろん、比例するようにベンダー側も国内、外資いずれの企業も大きく動いていた。RPAはGartnerのハイプ・サイクルでいうところの頂点にあるかは今はまだ判断できないけど、大手新聞も取り上げるなど大きなブームとなったといって良いと思う。日本企業の期待、関心の高さは間違いない。
國谷 武史(ZDNet Japan編集長):確かに関心の高まりを強く感じました。ただし、業務現場が主導する流れが非常に強かった。ZDNetとしてはIT部門や全社視点での活用という視点になるので、どう統制したり、管理したりしていくかに読者の関心が向きます。
その視点がないと、デスクトップごと、いわゆる個々人が勝手に利用、管理する“シャドーIT”のようなリスクを伴いながら広まり、属人化してしまうことが非常に多い。そうなると結局Excelのマクロと一緒で、退職などによってブラックボックス化したり、故意でなくとも暴走などで思わぬ動作したりする可能性も排除しきれない。どうガバナンスを効かせるか、全社的にみた場合の効果をどう図るかなどの視点の必要性を感じています。
そもそもRPAは、少子高齢化の流れにおいてベテラン社員や職人などのノウハウをどうデジタル資産化し、事業継続に役立ていくか、という話だったはず。ブーム化したことで人件費の削減にフォーカスが当たり、人減らしの手段という違う側面の色が強く出てしまった。それらが複雑に絡み合った結果での大ブームだとは思っていますが。
(左から)ZDNet國谷編集長、TechRepublic田中編集長 撮影:山川晶之 (編集部)