前回(第3回)は、
- 世界の流れはインターネットEDIに向かっている
- 従来型EDIが「固定電話のIP網移行」によって受ける影響を最小限にとどめるため、全国銀行協会(全銀協)がインターネット対応を含めた通信手順を発表
- 情報サービス産業協会(JISA)は全銀協に倣い、よりIP網への移行による影響が少ない方式での移行方法を公開
という流れを説明しました。
最終回となる今回は、インターネットEDIが実現する未来の世界を見てみましょう。
ネットワークの基盤はインターネットに!
ここまでの3回で、固定電話のIP網移行により、ネットワーク基盤としてインターネットの重要性が増していることを説明しました。
では、なぜインターネットに注目が集まるのでしょうか。
今では、当たり前のように使われているインターネットですが、その普及の背景には、“安価で高速”“常時、同時に、多数と接続可能”という点が挙げられます。
そして、その接続方法も、固定電話のように“決められた相手と、決められた方法で、決められたルールに従わないとつながらない”ではなく、“比較的緩やかなルールで柔軟に”つなぐことができます。
例えば、光回線の有線でも、モバイルの無線でも、速度に関係なく自在に接続できます。2020年からサービスが始まる第5世代(5G)のモバイルでは、現在の光回線の10~20倍、現在の4Gに比べると50倍以上(理論上100倍)速いとされています。
一方、つなぐための仕組みは簡単な上に、方法も多様。国内外の距離や互いの速度も関係なく、音声やデータの区別も不要で、様々なハードやソフトがつながり続けることができるのです。これからのネットワーク関連技術の多くは、インターネット技術が前提となるでしょう。
これまでは“つなぐ”--これからは“つながっている”
これまでの固定電話を利用した従来型EDIでは、相手を特定し回線接続するダイアルアップ作業など、最初に“つなぐ”ための操作が必要でした。一方、インターネットを使う場合は、相手ごとにつなぐ操作は必要なく、しかも相手との間に物理的な回線を持つ必要はありません。インターネットにつながっていれば、論理的には無制限の相手先と接続することができるのです。
つまり、インターネットにより、EDIも“つなぐ”世界から、“つながっている”世界に替わるのです。 “つながっている”世界は、ネット検索やSNSなど、いつでも誰とでもコミュニケーションでき、すでに私たちは経験しています。
EDIの場面でも同じように、人を介さずコンピュータ同士が自在につながり続けることを想定すると、業務や生活の中での様々な利用シーンが浮かんできます。とにかくインターネットを基盤にすれば、データや情報の連携が容易になるのです。
生活者からメーカーに続く情報の流れとメーカーから生活者への物の流れ(出典:データ・アプリケーション)