具体的にはCSVやExcelワークシートといったファイルをサポートし、後者は複数のワークシートで分割した情報も取り込める。もちろん現時点で100%のクレンジングに達しておらず、セル項目を正しく設定するなどの事前準備は必要だが、データ分析時間の8割を占めるといわれるデータ整備を短縮したのは確かだ。
選択したフィールドと他の相関関係を自動分析する
日本IBM IBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 ダッシュボード・サイエンティスト 木戸隆治氏
「可視化・分析手法を自動選定」は、文字どおり可視化すべきデータや分析方法をAIが提案し、利用者は示唆された内容から洞察を得るだけでよい。ダッシュボードから興味を持った部分はドリルダウンし、スパイラルやディシジョンツリーといった拡張分析で可視化することも可能だ。
「営業部門や経営層は統計知識を持っていない。そこをAIで支援することでデータサイエンティスト以外もセルフサービスBIを活用できる」(木戸氏)
「自然言語の応答で可視化・分析」は、チャットベースで分析内容をアシストする機能だ。たとえば「show data」と入力すると、表示するデータの概要や関連する項目を提示し、さらに選択した項目に最も影響を与える要素なども提案する。利用者は対話型でアウトプットを作成できるため、統計に関する知識や操作方法を新たに学ぶ必要がない。
同社によれば、Cognos Analytics v11.1はファーストバージョンであり、今後は約3カ月ごとにデータの相関分析など機能強化を図っていく。
可視化も複数のパターンから選択可能
日本IBMとしては、エンタープライズBIとセルフサービスBIの両者を統合させることで、共通プラットフォームによるガバナンスを容易に維持できることをうたい文句にセルフサービスBI市場に攻勢を掛けるつもりである。
「セルフサービスBIベンダーがエンタープライズBIに注力しているのは、ビジネス規模が背景にあるのだろう。フットプリントとセキュリティガバナンスを強みに、(セルフサービスBI市場の)席巻を目指したい」(村角氏)と営業戦略を語った。