税理士におけるトライアルは税務業務に関する通帳のデータ化と読み取り結果のエラーチェックを行い、活字認識率は97%、作業時間は83%の削減に至ったという。製造業では給湯器の登録書データ化や申請書の作成トライアルでは、活字認識率は99.7%、手書き文字認識率は96.1%、作業時間は47%の短縮に至った。
「AIよみと~る」のデモンストレーション。記者が書いた自筆の文章をスキャナーで読み取って、OCRを実行したところ、かなり高い確率で文字を認識していた
OCR処理はウェブベースで行うため、通常はインターネット回線を用いるが、帳票に記述した個人情報の漏えいを嫌う企業向けに「クラウドゲートウェイ クロスコネクト」「フレッツ・VPNワイド」といったIP-VPN接続による閉域ネットワークを用意する。
辻・本郷税理士法人 関西会社設立センター センター長 久和大輝氏
今回両ソリューションの開発に協力した辻・本郷税理士法人は、自社顧客向けにAI OC+RPAで通帳をデータ化する「通帳楽デジサービス」の提供を開始した。
両ソリューションの導入について、辻・本郷税理士法人 関西会社設立センター センター長 久和大輝氏は「通帳入力は会計事務所によって身近な作業。以前は通帳を見ながら手入力を強いられ、人海戦術で対応していたが、AI OCRで1冊あたり1時間が10分程度に短縮。また、担当者ごとに入力の『クセ』があり、同じ通帳でも異なる資産表になる課題もRPAで標準化できた。会計入力の効率化と標準化の成功が大きなメリット」と評価する。
「AIよみと~る」の基本料金はID単位で月額10万円だが、最低利用期間24カ月、解約金として最低利用期間の残月数に3.75万円を乗じた額が必要。基本額には6万項目(初回読み取り時に選択する項目。1帳票あたり30項目程度とした場合、2000枚程度)までの読み取り制限を設けており、超過した場合は項目あたり1円、ブランクやチェックボックスは0.5円の加算となる。
クラウドサービスとしては違和感を覚える料金設定だが、試用を望む顧客向けに2カ月分の料金(20万円)を一括請求する「2カ月トライアルメニュー」を用意。複数の帳票を一括読み込みし、種類に応じて仕分けを行う「帳票仕分け機能」も無償使用できる。
「おまかせRPA」の基本メニューはライセンス単位で月額7.5万円(利用期間は12カ月。解約金は最低利用期間の残月数に3.3万円を乗じた額)。
オプションとして、WinActorのシナリオ(操作記録データ)実行版ライセンスは月額2万円(利用期間は12カ月。解約金は最低利用期間の残月数に0.8万円を乗じた額)、初期設定や業務ヒアリングを行う訪問サポートは1人日5万円程度+実費が発生する。「AIよみと~る」と同様に2カ月間のトライアルメニューを用意する。
石川氏は料金設定について「OCR機能はAI insideのサービスを前提にしており、初期料金無料など規模縮小を図った価格設定。まずは試してみたいという方向けに2カ月のお試し版を用意した」と説明した。
同社は数年内に導入企業1000社の目標を掲げつつ、自治体などでの活用を踏まえた総合行政ネットワーク(LGWAN)の対応も早ければ2018年度内、遅くとも2019年度第1四半期(4~6月)までに実現するという。