アクセンチュアは1月28日、福岡市に「アクセンチュア・インテリジェント・オペレーションセンター福岡(AIO福岡)」を開設し、同日に開所式を開催した。RPA(ロボット自動化)や人工知能(AI)、データ分析などの先端技術を活用したオペレーションサービスの拠点として、業務の「90%自動化」を推進する。
(左から)アクセンチュアの伊佐治氏と江川社長、福岡市長の髙島氏
同社では、2000年代の初頭から顧客企業の業務処理(ビジネスプロセス)を幅広く受託するビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスを提供。AIO福岡は、BPOサービスを中心とした“次世代の業務プロセスの執行拠点”になる。
RPAやAI、データ分析をはじめとする先端技術を業務の随所に組み込み、業務処理の見直しと再設計を進めることで業務の運用を高度化する。同社ではこれを“インテリジェントオペレーション”と呼ぶ。「執行系業務の圧倒的な省力化で90%の自動化を目指す」(執行役員 オペレーションズ本部 統括本部長 伊佐治光男氏)
インテリジェントオペレーションのイメージ。RPAやAI、アナリティクスが業務の随所に組み込まれている
AIO福岡では、経理・財務、人事、調達、サプライチェーン、営業、デジタルマーケティングといった広範な業務について、実際に稼働しているサービスやデモを見ながらワークショップを通じて具現化させていくことができる。そうして具現化された業務処理については、アクセンチュアが顧客と合意したサービス品質に基づいて業務執行するとともに、運用状況をリアルタイムに監視することで品質確保とリスク管理が可能になる。
業務の省力化については、「現行処理を前提とした自動化や、自動化できるところにRPAを当てはめる“つまみ食い”ではなく、紙文化や過剰な品質チェックの廃止などゼロベースの業務改革が必要であり、RPAやAIといったデジタル技術の活用と定量的な管理体制が重要になる」と伊佐治氏は説明する。
インテリジェントオペレーションの概念図
人間とマシンの協働に関しては、自動化が進んでも人間の業務への介在は無くならないとする一方で、労働環境の変化に応じた再教育(リスキリング)が必要だという。その上で、業務の自動化を成功させるカギは、統合基幹業務システム(ERP)のようなビッグバン導入ではなく、数年にわたる“ジャーニー”にあるとした。
その過程においては、業務への人間の介在が段階的に減少していく中で、その役割が変容する担当者の管理が重要になる。そうした人間系の問題についても、同社のオペレーションサービスによって解決することができるという。
開所式で登壇した代表取締役社長の江川昌史氏は、「デジタル技術を活用した大変革が起きている。従来の3~4割のコスト削減ではなく、8~9割のカットが図れないかと顧客から声が上がっている。RPAやAI、アナリティクスを駆使して、企業のデジタル変革を下支えするサービスを福岡の地から提供する」とアピールした。
AIO福岡の開設に当たり、髙島宗一郎市長も開所式に駆け付けた。「世界的なコンサルティング企業であるアクセンチュアが福岡に拠点を置くということは、非常に大きな戦力・仲間を得たなと心強く思っている。若者や学生が多く、スタートアップの集まる都市として福岡を評価していただいた。日本は今、労働力の減少が重要な課題となっており、AIやRPAを活用して生産性の向上を図れれば、新たな時代を迎えることができると考えている。アクセンチュアは世界中にネットワークを持っており、それらの知見を使って福岡からも新しい価値が生まれることを期待している」