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マイクロソフト、Surfaceでも使うサプライチェーン管理をサービス化

阿久津良和

2019-02-06 06:00

 日本マイクロソフトは2月5日、製造業向けの取り組みに関する記者説明会を開催した。同社は2019年度経営方針で流通や教育など8分野に注力する「インダストリーイノベーション」を戦略の1つとして掲げ、既に製造業分野では1月22日に発表したDMG森精機との協業など、幾つかの取り組みを進めている。

 記者会見で同社は、製造業向けの取り組みを推進する「Factory of the Future(未来の向上)」「Product as a Service(製品のサービス化)」「Intelligent Supply Chain(知的な価値連鎖)」の3つの軸を掲げ、複雑化するサプライチェーンを動的に回す「Supply Chain Visibility~サプライチェーン可視化ソリューション導入支援サービス~」の提供を順次開始すると発表した。

Supply Chain Visibilityの概要(出典:日本マイクロソフト)
Supply Chain Visibilityの概要(出典:日本マイクロソフト)

 日本の製造業を取り巻く環境は悪化しており、従来のモノ作りではビジネスが成り立たず、異業種からの「ディスラプター(デジタルを活用して既存市場を破壊するベンチャー企業)」やグローバル競合の変革、環境変化などの悪化原因がある。数年前から既存の製造業では、サービスや体験といった付加価値を求められ、単純な製造・販売からサブスクリプションビジネスへシフトする企業も多いのが現状だ。この状況を踏まえて日本マイクロソフトは、製造業分野でMicrosoft Azureや各種テクノロジを生かした施策を展開するとした。

 その理由としてエンタープライズ事業本部 製造営業統括本部長の赤田将之氏は、「例えば2018年10月には、トヨタ自動車とソフトバンクがモビリティサービスの構築に向けた戦略的提携を発表した。このケースからも自動車製造業が自動車だけを作る時代が終わったことを象徴している。我々は日本製造業の強みである人を中心としたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、現場がサービスを享受できる環境を目指す」と語る。

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部長の赤田将之氏
日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部長の赤田将之氏

 赤田氏はまた、「我々はGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と異なり、プラットフォーマーにならない」と興味深い発言を行った。GAFAによるデータの寡占は各国政府も乗り出し始めている。あくまで日本マイクロソフトは「製造業がDXを実現するためのテクノロジインフラサービス提供者を目指す」(赤田氏)という。具体的施策の骨子となるのが、Microsoftの戦略と適合した前述の3本柱となる。

 Factory of the Future領域に含まれる製造・エンジニアリング区分では、製品開発を迅速化させる。生産区分では製造オペレーションの最適化を目指す。Product as a Service領域に含まれるサービス提供時はダウンタイム削減と資産効率の向上、そしてビジネスモデルの変革によるバリューチェーンの拡張を経て、「Intelligent Supply Chainは中央制御塔として設計パートナーや生産パートナーとの連携を行う」(エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーマーケティングマネージャーの鈴木靖隆氏)という。

製造業向け戦略となる「Factory of the Future」「Product as a Service」「Intelligent Supply Chain」の位置付け(出典:日本マイクロソフト)
製造業向け戦略となる「Factory of the Future」「Product as a Service」「Intelligent Supply Chain」の位置付け(出典:日本マイクロソフト)

 会見では、Factory of the Futureの文脈で幾つかの事例が紹介された。豊田自動織機では、フォークリフトにカメラやセンサを取り付け、これらから取得したデータをAzure IoTを通じて収集、人間では気付けなかった改善要素を洗い出し、さらなる業務効率化を実現している。久野金属工業では、既存のハードウェアにセンサを後付けし、クラウドを活用した工場のIoT化ソリューション「IoT GO」で生産能力を11%向上させた。カーナビゲーションシステムを開発するアイシン・エィ・ダブリュは、人間の目視では不可避の見逃しや検出力の不安定さを解消する開発プロセス支援プラットフォーム「v.Platform」を開発、Preferred Networksらが手掛ける「Chainer(チェイナー)」で深層学習を重ねた結果、90%以上の認知度を誇る。

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーマーケティングマネージャーの鈴木靖隆氏
日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーマーケティングマネージャーの鈴木靖隆氏

 またProduct as a Serviceの文脈では、小松製作所のIoT系クラウドプラットフォーム「スマートコンストラクション」を紹介。全国の工事現場の最適化を支援している。白物家電を製造・販売するアクアはコインランドリーにおける余暇時間のユーザー体験を改善するサービスを提供し、ダイキン工業はMicrosoft Azure上で稼働する自然言語入力処理の「LUIS(Language Understanding)」を経由したチャットコミュニケーションを通じて、ルームエアコンの故障診断サービスを提供する。

 Initiative Supply Chainの文脈では、Surfaceのサプライチェーンを披露した。Microsoft本社にあるサプライチェーンコントロールセンターは、Microsoft Azureでデジタルサプライチェーン基盤を構築し、107カ国にSurfaceデバイスを提供している。日本マイクロソフトによれば、約4万2000SKU(最小在庫単位)のSurfaceデバイスを3万カ所に出荷し、1日当たり1テラバイトにも及ぶ関連データを収集する。

 提供を発表したSupply Chain Visibilityは、このSurfaceデバイスのサプライチェーン管理とほぼ同等のソリューションになる。サプライヤーや調達、製造、在庫、物流とエンドツーエンドまでの各プロセスにおける、Microsoft Azureのサービスを通じたデータ分析プラットフォームであり、リアルタイムなサプライチェーンネットワークを管理するコンサルティングサービスとなっている。同社は具体的な提供時期などを明確にしていないが、流通業向けサービスと同じく製造業企業のDXを推進するため、製造業務の最適化や新ビジネスモデル、他社と差別化したブランド創出を支援するデジタルアドバイザリーサービスを合わせて提供する予定だ。

 この他にも製造業の現場で働くファーストラインワーカー支援や、企業のIP(知財)リスクを大幅に軽減する「Azure IP Advantage」、パートナー企業の知財を保護するための「Shared IP Innovation Principles」も用意する。

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