2019年には、どの企業も自社のテクノロジロードマップにエッジコンピューティングを盛り込む必要がある。エッジをIoTに限定されたものとして捉えている人も多いかもしれないが、その価値はより幅広く、ウェブの黎明期におけるコンテンツ配信ネットワーク(CDN)がそうだったように、顧客エクスペリエンスの向上に欠かせない存在だと証明されるはずだ。
これこそ、エッジコンピューティングサービスや人工知能(AI)サービスがあらゆる大手クラウドベンダーから提供されるようになり、主な通信事業者のロードマップに盛り込まれるようになっている理由だ。Forrester Researchがまとめた「Forrester Analytics Global Business Technographics Mobility Survey, 2018」によると、調査に回答したグローバルな通信事業者の意思決定者の27%が2019年にエッジコンピューティングの実装あるいは拡大を計画していると答えている。これらベンダーの多くはこうしたデジタル変革を達成するうえで、新たな無線ツールを必要とするとともに、スキルセットを更新する必要がある。これは、Verizon Communicationsによる早期退職プログラムの実施に通じるところがある。同社が2018年12月に発表したところによると、このプログラムには1万400人を超える従業員の応募があり、100億ドル近い経費削減が見込めるという。同社はこれにより、エッジコンピューティングを中核に据えた第5世代移動通信方式(5G)ネットワークサービスを強化する計画だ。
CDNに関しては、これらベンダーのほとんどが市場における自社の中核価値にエッジコンピューティングを追加しようとしているという。CDNを手がけるEricssonやFastly、Limelight Networks、Akamai Technologiesなどの企業は、既にエッジコンピューティングを提供しているか、2019年に開始するとみられる。ほとんどの企業は残念ながらCDNを、自社のウェブアプリやモバイルアプリのためのコンテンツをキャッシュするソリューションとして捉えている。その価値は依然として存在しているが、より大きな価値は下記に挙げる分野にある。
何がエッジコンピューティングの優先順位を押し上げているのか?
- IoT:センサデータの分析と集積。これが最も有力なユースケースであるのは明らかだが、製造企業に限定される話ではない。あらゆる国の政府はスマートシティプログラムのほか、軍や交通機関、セキュリティ関係機関の持つセンサデータに対するAIの適用拡大を優先させる必要がある。また、金融サービスやヘルスケア、教育といった分野のすべての組織はセンサデータを自らの事業価値に結び付ける必要がある。さらに、すべてのSaaS企業やデータソフトウェア企業は自社ツールによって顧客がセンサデータを集積できるよう支援する必要がある。