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“ロボットを派遣社員”と考える--損保ジャパンに見るRPA活用の奥の手

阿久津良和

2019-02-08 06:45

 損害保険ジャパン日本興亜の業務改革推進部 リーダー 齋藤隆史氏は、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツール「UiPath」を提供するUiPathが1月30日に開いたイベントに登壇。「損保ジャパン日本興亜におけるRPA活用」をテーマに同社のRPAの活用状況を話した。

 損害保険ジャパン日本興亜は2017年度から取り組み始めた全社改革「カイゼン」の一環として「ゼロベースの仕事の棚卸し」を実施した。その理由として齋藤氏は「デジタルトランスフォーメーション(DX)や海外展開などの成長分野へ業務をシフトさせるには、不必要なルールや慣習を断捨離して成長分野“価値創造業務”に費やす時間を創出する。無駄の排除や改善策を能動、主体的に実行できる企業文化への移行も狙いの1つ」と説明する。

 損害保険ジャパン日本興亜は、個人や組織が抱える業務の可視化からスタートし、時間や労力を要するルーティン業務を管理者が確認。担当者と管理者が膝詰めで業務を停止するか相談した上でRPAの適用領域を検討してきた。

 同社は2017年6月頃からデジタル推進部門主導で概念実証(PoC)を開始し、IT部門とともに同年9月までに製品選定を終えている。その後の主導権はIT部門に切り替わり、11月から第1期を本格展開。2018年4月からは社内に散在していた部署を統合した業務改革推進部を設立し、第2期の本格展開を開始した。

損害保険ジャパン日本興亜 業務改革推進部 リーダー 齋藤隆史氏
損害保険ジャパン日本興亜 業務改革推進部 リーダー 齋藤隆史氏

 齋藤氏は「IT部門や営業部門、保険金支払い部門、代理店出向者などの人材を集め、部門間のサイロ化や縦割りをなくして、取り組みを加速させるのが狙い」と説明する。

 CoE(センターオブエクセレンス)の役割を担う業務改革推進部では、現場レベルでの改善活用を促しつつ、RPA化できる業務を洗い出した。具体的にはユーザー部門から上がってきた案件を審査し、ロボット開発の要件をRPA開発ベンダーとすり合わせて開発に着手する“橋渡し役”を担う。

 「企業文化によって異なるが、社員の知識問題や教育負担が大きいとの判断から、EUC(エンドユーザーコンピューティング)開発は一切行わず開発ベンダーに委託」(齋藤氏)しているが、ユーザー部門による開発は今後の検討課題として可能性を残す。

 このようにRPAの全社展開を進めてきた損害保険ジャパン日本興亜だが、2018年度は大規模展開に向けた組織体制の整備とともに、RPA管理姿勢の構築に注力してきた。導入範囲は本社部門業務や営業・保険金サービス部門業務と多岐にわたり、同年度下半期は低稼働やエラーが多発するロボットを見直して、改廃や高度化を重ねている。

 導入推移を見ると、2018年3月時点では12業務にとどまるRPA化だが、同年6月には29業務、同年12月には110業務と大きく拡大。同社説明によれば年間34万時間の効果を創出し、2018年度末までに60万時間の創出を見込んでいる。

 このようにRPAによる業務代替が順調に進んだ背景には、各種ルールの策定が大きい。保険業を主たる業務とする損害保険ジャパン日本興亜は、「IT企業のように厳しく制限すると現場のモチベーションが落ちるため、極力簡単にした。ただし、改修によるロボットのブラックボックス化問題などを踏まえて、コンサルティングによるルール構築を行っている」(齋藤氏)

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