患者が診察室で話す内容のほかにも、さまざまな要因が健康に影響を及ぼす可能性があることは広く認められている。それは健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health:SDH)と呼ばれ、交通機関へのアクセスや居住地域の安全性などが含まれる。Salesforceの「Health Cloud」の最新バージョンでは、医療提供者と費用負担者(例えば、保険会社や雇用主なども含む)はそうした情報を記録して、患者との関わり方に反映させることができる。
この新機能は、Health Cloudをアップデートして、ヘルスケアビジネスへのより総合的なアプローチを促進することを目指すSalesforceの取り組みの一環である。このアプローチにより、医療従事者と費用負担者、そのほかのビジネスの間の連携強化が可能になる。
Salesforceの最高メディカル責任者(Chief Medical Officer)であるJoshua Newman博士は、ヘルスケア業界では連携がますます重要になっている理由を説明した。
電子医療記録は「比較的現代的なヘルスケア時代を実現する上で非常に重要だった」とNewman博士は述べた。しかし、「ヘルスケア業界の最先端の成果は病院から離れて、家庭や職場、ライフスタイルなど、ほかのあらゆる場所に広がろうとしている」という。
業界が包括的でありながらパーソナライズされたケアへと移行する中で、「パーソナライズされた方法で私たちにリーチできるツールが必要になっている。ほかのすべての業界では、既にそうしたツールを利用可能だ」とNewman博士は話す。
例えば、医師がHealth Cloudの「Social Determinants」(健康の社会的決定要因)機能を使用して、患者がフォローアップ診察に来るのに必要な交通手段を利用可能かどうかを確認したいとしよう。この機能は、医療提供者がその情報を収集して、それを基に行動するのに役立つ。この状況では、彼らはSalesforceクラウドを使用して、ライドシェアリングサービスと連携することも考えられる。
Salesforceのユーザーは、こうしたデータを主に手動で入力することを求められるが、ほかのソースのデータをHealth Cloudにインポートすることも可能になる。Salesforceは2018年にMuleSoftを買収している。Newman氏はMuleSoftの主なユースケースの1つとして、健康記録の形式が異なり、サイロ化しているヘルスケア業界を挙げている。また同氏は高度なアナリティクスや人工知能(AI)との将来的なデータ連携にも言及している。
今回、Health CloudにはSocial Determinantsに加え、フィールドスタッフ管理の「Field Service Lightning」との連携機能も加わった。在宅医療サービスを展開する大規模な組織での利用を想定している。
またHealth Cloudと「Marketing Cloud」の連携により、病院などの医療機関が電子メールやモバイル、ソーシャルメディアなどを活用しながら、患者に適切な情報を提供することでそれぞれにふさわしい「ジャーニー」に導くことが容易になった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。