IBMは米国時間2月12日、米国サンフランシスコで開催の年次カンファレンス「IBM Think 2019」で、人工知能(AI)製品「IBM Watson」をマイクロサービス化し、マルチクラウド環境で利用可能にすると発表した。
今回、AI管理基盤「Watson OpenScale」と対話型エンジン「Watson Assistant」をデータ基盤「IBM Cloud Private for Data(ICP for Data)」用のマイクロサービスとして提供する。これによって従来の「IBM Cloud」に加えて、他社のパブリッククラウドやマルチクラウド環境で実行可能になる。
IBMでData and AI担当ゼネラルマネージャーを務めるRob Thomas氏
ICP for Dataは、データの蓄積、探索、加工、分析、活用といった一連のデータ環境を提供するソフトウェア製品。コンテナ技術のKubernetesをベースとしており、オンプレミス、クラウドなど多様なインフラ環境に対応する。新たなWatsonマイクロサービスもKubernetesベースで提供される。
アプリケーションの実行環境に関係なく、AIを組み込むことが可能になる。データをセキュアな環境や要件に応じた環境に配置したまま、データがあるその場所でWatsonを活用することができる。
Watson OpenScaleは、実行する多数のAIインスタンスを管理する基盤製品。AIの決定がどのように導かれたかをリアルタイムで説明する機能を備え、透明性やコンプライアンスを高められる。Watson Assistantは、アプリケーションとデバイスに会話型インターフェースを組み込むためのツールになる。
新たなWatsonマイクロサービスは、ICP for Dataで現在提供中の「Watson Studio」や「Watson Machine Learning」などのサービスに加わる形になる。年内には、「Watson Knowledge Studio」「Watson Natural Language Understanding」などのサービスもICP for Dataに追加していく予定となっている。
また、「IBM Business Automation Intelligence with Watson」を年内に提供する予定を明らかにした。業務をインテリジェントに自動化しながら、AIが業務の成果に与える影響のレベルを測定できるようになるとしている。
IBMのAI製品に関するアップデート
(取材協力:日本IBM)